近年「仁」というタイムスリップもののコミックがドラマ化され、大評判になったのは記憶に新しい。
他にも、「信長のシェフ」というタイムスリップもののコミックがドラマ化されたりもしている。
タイムスリップものの作品は、昔からあったし、今もある。この先も新たなタイムスリップものの作品は描かれていくのだろう。
それはコミックだけに限らず、小説にもある。例えば、あの有名なSF「夏への扉」だって、一種のタイムスリップものだった。スリップの方法は「冷凍睡眠」だったけれど。
今回紹介するのも、タイムスリップもので、横山光輝先生のコミック「時の行者」である。
厳密に言うと、これはタイムスリップというよりも、ちゃんとしたタイムマシンで時空を超える話なので、タイムトラベルもの・・・と表現したほうが正確。
先生の作品の中では、さほど有名な作品ではないかもしれないが、個人的に大好きな作品。
日本史の・・・武士の時代に、正体不明の青年があらわれ、あちこちで不思議な力を見せつけ、歴史上の事件に遭遇していく。
この青年は、行者のようないでたちである。
で、実に不思議な青年でもあった。
なにしろ、不思議な力を次々と見せつける。
どんな攻撃を受けても、相手の攻撃を受け付けなかったり、正体不明の怪しげな熱線を発射して、危害を加えようとする相手を威嚇したり。
その他にも、当時の人々には理解不能な謎のアイテムを持っている。
実は・・この青年は、その時代の人ではなく、遠い未来からやってきた未来人で、タイムトラベラーであった。
青年が持っている未来の科学技術によるバリアーや熱線銃は、戦国時代や江戸時代の人々にとっては、恐るべき超能力である。
この青年が、日本史上の様々な、実際にあった事件に遭遇し、人々と関わっていく。
豊臣秀吉、由井正雪、その他。
この青年行者は、未来では「淳」という名で呼ばれており、淳はある目的があって過去に旅してきてるのだ。
それは、ある人物を探すため。
なぜ、淳はその人物を探すために過去に旅しているのか。
それには、彼の本来いる「未来世界」の現状が、大きく関わっていた。
では、淳のいる未来とは?どういう未来なのか?
そして、淳が探す人物とは?そして、その人物はなぜ過去にいるのか?
未読の方のために、これ以上内容を書くのはやめておく。
我々がいる21世紀のアイテムや科学技術ですら、戦国時代や江戸時代に持っていったら驚愕のアイテムであり、技術であろう。
それが、21世紀の我々でも驚く、21世紀より先の未来のアイテムや技術であれば、なおさらであろう。
だが、彼は歴史を変えることはできない。しかも、一定の時間がくれば、元居た未来に自動的に引き戻される。そしてまた、再び過去に旅立つ。そう、それは探す人物を見つけるために。
時代劇にSFを持ち込んだ物語であるが、SFコミックとして読むよりも、切り口の変わった時代劇コミックとして読むと、これが面白い。
SFとしての未来の設定は、様々なSF作品で何度も使われきたような設定なので、割と「ありがち」かもしれない。
でも、時代劇として読むと、この淳と関わった歴史上人物の考え方や生き方が面白く、そのへんにこのコミックの真骨頂がある気がする。
アニメにもドラマにも映画にもならず、これまで一切映像化されていないコミックだが、例えばNHK少年ドラマみたいな形でドラマ化しても面白くなりそうだし、各エピソードを拾いあげて、オムニバス形式のシリーズドラマにしてもいいかもしれない。
こういったタイムスリップものを読むたびに、もしも私が過去の時代に行く時に、どんなものを持っていったら面白いだろうか・・・などと妄想したりすることがある。
ギターなどを持っていくことも考えたが、ただの舶来の珍しい楽器というだけの扱いかもしれない。
通信をもしも未来世界ともつなげられるのであれば、パソコンや携帯やテレビなどを持っていったら、大昔の人はビックリするだろう。
グーグルアースで地形を調べれば、戦国時代なんて、たとえその地を知らなかったとしても、地形を活かした戦法を考えられるだろうし、携帯があれば、忍者よりも早く情報を君主に伝えられるであろう。
テレビがあれば、情報量は半端ないだろう。
車があれば、ガソリンが切れたり、事故にでもあわない限り、乗馬ができない人でも素早い移動が可能だし、飛行機でも持ち出された日には、戦国時代や幕末の時代の敵はおてあげだろう。
素早く火がつくライターがあれば、相当重宝されるであろう。
扇風機やクーラーなどは贅沢の極みだろうし、冷蔵庫でもあれば、食生活も一変するだろう。
医療もそう。
録音機器を持っていって、過去のスーパースターたち・・例えば信長、龍馬、義経、卑弥呼などの声を録音してきたら、大変なことになるだろうな。
また、幕末の時代には写真は存在したが、戦国時代にはまだ写真というものはない。なので、歴史上の有名人物が実際にどんな顔をしていたかを写真に撮れば、それまでの肖像画によるイメージを一変してしまうだろう。
ただ・・・問題はバッテリーがあるかどうか。なので、現代の文明の利器を過去に持っていっても、電池やガソリンなどがあるうちだけの価値ではある・・。
でも、上記の「IF」は、あれこれ想像してみるだけで、楽しい。
話がそれたが、横山光輝先生の「時の行者」は、私のお気に入り作品であり、隠れた名作だと思っている。
映像化したら、きっと面白いだろうと思う。
「仁」や「信長のシェフ」がドラマ化され、タイムスリップものが浸透してる昨今なら、こういう作品も「あり」ではないか。
映像化されないかなあ・・・。
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