アマチュア無線局 JH0FHB

25年越しの14MHz SSB無線機の製作

憧れの自作無線機

2016年01月19日 | 14MHz SSB無線機

 

 

25年前、当時30歳だった私は自作の無線機の製作を夢見ていました。
ちょうどその頃、現在の会社に転職し仕事に追われる日々が始まります。
又、転職して間もなく長男が誕生し、子育ての日々も始まりました。
無線界には身を置きながらも、自作の夢は一時的に遠退いて行きました。
新たな決意を固めたのが、長男も社会人3年生となった2015年の秋の事でした。
25年前に製作した基板や購入した部品を眺めていたら、自作への情熱が再燃し始めました。

【とにかく製作を開始してみよう】
2015年10月3日(土)の事でした。
平成8年(1996年)に、ミズホ通信(株)(2012年12月廃業)から購入したVFO-5Dと言う5MHz台の発振器 (VFO)を眺めて、「これを何としてでも生そう!」と決意しました。
長年に渡り生かせなかったのは、これをケースに組み込む段階まで進めなかったからです。
数年前から、真似事でCADを扱う様になっていたので、ケースに組み込む図面を描いてみました。
CADソフトはフリーソフトのJWCADですが、私には十分過ぎる内容でした。
寸法を入力すれば、原寸大で印刷ができます。
試行錯誤の結果、ステーを製作してケースに組み込む事を考えました。

その日のうちに、アルミの廃材を加工したステーを製作して、VFO-5Dに取り付けて見ました。
何故、ここまでVFO-5Dにこだわったかと言うと、当時のミズホ通信(株)は自作の魅力を教えてくれる企業であり、その一環した姿勢には大きな影響を受けたからです。
当時の社長である、高田様(JA1AMH)には30年程前に、秋葉原のお店で偶然お会いして名刺を戴きました。
その後、回路的な質問を手紙で送ったりしていましたが、丁寧に回答して下さった恩人です。
メールもネットも無い、古き良き時代の思い出ですが、先日ネットを見ていたら2012年12月廃業と書かれており大変残念な気持ちになりました。

 【ダイヤルメモリ板をシャーシの内側で回転させる】
今回、どうしてもやってみたかった事です。紙で疑似的なシャーシを作って構想を練ります。
ついでに、約20年ぶりにVFO-5Dに通電し動作を確認しました。(良好な動作を確認)
2015年10月11日(日)の事でした。





【ケースの選択】
ケースはLEADのPK-10がよさそうです。大きさも価格も手頃でしたのでこれで製作を進めることに決めました。


ケースが届くと、すぐに加工を始めました。
バックパネルのACインレットとアンテナコネクタの取り付け穴、フロントパネルのダイアル目盛り板の窓の加工を行いました。
全て手作業でしたが、材質が1mm厚のアルミ板ですので加工は比較的楽だと思われます。

バックパネルに、スイッチング電源とラインフィルターを取り付けて見ました。
2015年10月11日(日)の事です。
電源は既製品のものですが、これからの製作に向けて何となくワクワクしてきました。



次は、シャーシにVFO-5Dを取り付けて、フロントパネルの窓とダイヤル目盛り板の位置の確認です。
VFO-5Dは、元々チューニング用のシャフトが短いのでフロントパネルの内側にダイヤル目盛り板を配置するのは難しそうです。
ダイヤル目盛り板を、フロントパネルの内側にかなり接近させないと、チューニングつまみが取り付けられなくなりそうです。


自作したVFOステーの穴位置を決めて、ケースに組み込んでみました。
目盛り板の位置もちょうどいい感じで、これなら何とか行けそうです。
チューニングツマミには、KENWOOD TS-130のツマミを取り付けてみました。

【デザインのイメージ造り】
VFO
ダイヤルだけの、殺風景なパネルをじーっと眺めて、デザインを考えます。
メーターは、右上?それとも左上?、電源スイッチはトグルスイッチ?フォーンジャックの位置は?等と創造力を発揮する楽しい時間が流れます。
当初は、下の写真の様にVFOダイヤルの真上にスピーカーの配置を考えていました。

しかし、デザイン的に今一つ気に入らないのと、VFO-5はダイヤル目盛りが10KHzまでしか直読できず、これでは流石に物足りないと感じていました。
そこで、VFOダイヤルの上にデジタル周波数表示をさせることにしました。
現在は、便利な周波数カウンターモジュールが市販されていますので、それを使うことにしました。
周波数表示は、ある程度大き目なものを選択する事とし、選んだのがSANCTUSの周波数カウンターモジュールです。

ここ最近、私の視力も老眼が進み文字が見えにくくなっており、今後の為にと思い大きな周波数表示のものを選びました。
又、操作ツマミについても大き目のものを採用し「年寄向き」の仕様にすることにしました。この仕様なら老後も楽しめそうです。

デザインに関してはコリンズのデザインが好きで、その雰囲気に近いものを目指しました。
従って、使用するメーターもレトロ調なものが好みでTR35というVUメーターを採用することにしました。
このメーターは、照明付きで夜間でも黄色く輝きとても気に入っています。

【フロントパネルの加工開始】
いよいよ、フロントパネルの加工に入ります。
加工する中でも、メーターの取り付け穴はメーター本体の穴と取り付けネジ用の穴の間隔が小さくて加工するのに苦労した箇所です。
ここでも前述のJW CADのソフトを使って、原寸大の型紙を作成して慎重に加工をめました。

慎重にヤスリ掛けを繰り返し、無事にメーターが取り付けられた時の喜びは格別でした。
2015年11月8日(日)の事で、気が付けば秋も深まる季節となっていました。


更にフロントパネルの加工を進めます。
ひたすら完成を目指して、作業は深夜に及ぶことも有りました。
ホームセンターで購入した黒のPPクラフトシートでエスカッションを製作して、パネルに貼り付けたところ無線機らしい雰囲気が出せました。

パネルの文字は、25年前に購入したインスタントレタリングを使用しています。
周波数表示窓と、ダイヤル目盛りの表示窓には100円ショップで購入した、薄いアクリル板を貼り付けることにしました。
現在では、糸半田も100円で売られており自作するのには便利な世の中になったと思います。

全てが手作業ですので機械のような訳には行きませんが、そこが自作の楽しいところだと勝手に考えています。
上の写真のパネルが完成したのは、2015年11月15日(日)の事でした。

【いよいよ部品の取り付け開始】
季節は11月中旬。
晩秋へ向かう気配が漂う中、製作は勢いを増してきます。
この1か月間は穴あけやヤスリ掛け作業に明け暮れましたが、ようやく部品を取り付ける段階に入りました。
取り付けた部品が一つ増える度に喜びを感じます。



スピーカー、メーター、周波数表示部等が付き、早く通電させたい衝動にかられます。
ロータリースイッチは、USB,LSBの切り替え用です。
【ロータリースイッチの加工】
フロントパネルへ、ロータリースイッチを取り付けて見るとシャフトが長過ぎて、切り替えツマミがパネルから離れ過ぎてしまいました。
仕方なく、ロータリースイッチのシャフト先端を糸ノコで切断してサイズを合わせることにしました。
2015年11月18日(水)のことでした。


【9MHz IF基板の組み込み】
2015年も遂に12月に入りました。
製作を開始してから、約2か月が経過しました。
ケースの加工は、ほぼ完了したので中に組み込む基板の構想を練り始めます。
IF段には、25年前に製作した9MHzのIF基板を整備して使います。
14MHz帯の信号を、VFO-5Dの5MHzの発振出力と混合変換を行い9MHzのIF信号にする計画です。
9MHzのIF基板は、1989年にCQ誌で紹介されたものでUSB専用でしたが、将来グレードアップする事を想定し、LSBとUSBのどちらでも使える様に改造しました。
又、クリスタルフィルターは6dB Downの帯域が2.8KHzの特注品です。
20年以上経過してますので、動作するか不安でしたが基板単体でDC6Vの電源電圧を印加して電流が流れる事だけを確認した後、すぐにケースに組み込んで配線しました。
結果は良好で、9MHzのSSBジェネレーターとして問題なく動作しました。


マイク回路に、アスタティックのマイクを接続して送信音の確認をしてみました。
現用の無線機(KENWOOD TS-940)で、送信音をモニターしてみると中々良い音がでています。
9MHzの信号を受信してみると、受信性能も問題無さそうです。
ここまで来ると、次のステップとして高周波回路の基板を組み込んで14MHzの信号を受信してみたくなります。
【高周波基板】
高周波基板は、これまた25年前に製作した基板を組み込もうと考えましたが当時は21MHz用の基板として製作しましたので改造が必要です。
手持ちの部品でさっさと改造して、ケースに組み込んでしまいました。

この高周波基板の信号の出入り口には、21MHz用のT型フィルターを組み込んで有りましたが、トリマーの調整で14MHzで動作させられるかが疑問でした。
実際に試してみると、このまま使えそうです。

そうと決まれば各部の配線を接続して、動作を確認してみたくなります。
【動いた!】
各部の配線を行い、アンテナを接続したところ、14MHzの信号を受信できました。
気を良くして、受信部の同調回路を調整すると海外のアマチュア無線局の信号も聞こえてきました。
受信感度は、現用のTS-940と変わらないレベルです。
送信部については、9MHz → 14MHzに変換後、トランジスタ1石(2SC2086)でアンプしているだけですのでまだ実用レベルでは有りませんが、これでもTS-940でモニターすると中々良い音が出ています。
実際の受信風景はこちらから
<-- 14MHz SSB無線機 -->

              



【この無線機の命名】
月日は過ぎ去り、2015年も残すところあと僅かとなっていました。

製作を開始したのが、2015年10月3日でしたからあっと言う間に3か月近くが過ぎ去ったことになります。
まだまだ、気に入らないところや改善の余地は有るものの、ここで一段落とするべくこの無線機のネーミングを考えました。
それは、以前我が家で飼っていた愛犬の「ラン」にちなんだ「RUN-1」です。
RUN-1 → 「素早く駆け抜ける」の思いも込めて有ります。
ネーミングの記念に、バックパネルに愛犬の写真をあしらったネームプレートを製作して貼り付けてみました。
暮れも押し迫る2015年12月27日の事でした。

約3か月間、「RUN-1」の製作に明け暮れましたが、寒い冬が過ぎ また暖かくなったら「RUN-1」と再び戯れたいと考えています。

コメント (3)
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