SSBフィルターの入力整合回路
【2017.04.16】
今朝の最低気温は、3.4℃で日中は22.9℃まで上昇した。
この陽気で、当地の桜も一気に開花に向かうだろう。
桜も開花すれば、あっという間に散ってしまう。
「待っている時が一番いいのかもね・・」とカミさんが呟いた。
「そうだな、何事も待ち遠しいと思っている時が一番いいんだろうな」と私が返す。
GWが待ち遠しいこの時期である。
今が一番いい時期と思って、苦難を乗り越えたいものだ。
さて、ここからは本題で「その35」でフィルター基板の構想について紹介したが、概ね構想通りに部品の配置が完了した。
次なるステージへ移行するべく、今回はSSBフィルターの入力整合回路について記事を書いてみる事とした。
【ミクサーとフィルターの間の伝送路をどうする?】
ミクサーと呼ばれる混合変換器とSSBフィルターの間にインピーダンス整合回路を入れる必要が有る。(各々のインピーダンスが異なる為)
上の写真の黄色の円内が整合回路を入れる部分で、この場所には部品交換を繰り返す試行錯誤の為のソケットが取り付けて有る。
【整合回路はどうする?】
L型整合回路を基本回路(下図参照)として、手当たり次第に部品を変えてみて反応を見るしか方法は無さそうだ。
こうなるのも、「理屈が良く分かっていない」のだから仕方がない。
しかし虚勢を張って、「分かっている様なふり」をするつもりは微塵もない。
当然のことながら、3の事しか知らない人が10の事を言っても、差し引き7は虚勢で固めるしかない。
逆に10の事を知っている人が3の事を言えば、お釣りが7つ発生する。
無理して虚勢を張っても「メッキが剥がれる」とか「化けの皮が剥がれる」と言う状況が待ち受けるだけだろう。
回路名称の「L型整合回路」はすぐに覚えられるとしても、その内容を十分に理解するとなると容易では無い。
部品はC1とL1の、たったの2つだけなのに・・・である。
【試行錯誤開始】
前述の通り、手当たり次第に部品を交換し辿り着いた値が、C1=150PF、L1=3.3μHだった。
部品交換後の「反応を見る」方法は受信機の感度測定だったが、受信感度が良くなっても選択度が極端に悪くなると言う現象も体験した。
この現象も理屈通りに動いているだけなのだと思うと不思議な感じがした。
【LTspiceで検証してみたい】
LTspiceは回路シミュレーターソフトで、このソフトの存在を知ったのは2014年の11月の事だった。
私はトランジスタ技術と言う月刊誌を時々購読していて、2014年の12月号の付録のCDROMを手にした事がきっかけとなった。
使用してみると、その素晴らしさに衝撃を受けた。
PCの画面上で描いた回路を走らせると、電流や電圧の変化の様子を見ることができる。
これだけでも凄いのに、周波数特性等、様々な回路の検証ができるという素晴らしいもので有る。
久々に、ソフトを立ち上げて下図の様な簡単な回路図を描いてみた。
この回路図で、今回のL型整合回路の動作の様子を見る事はできないか?
上図のV1は電源を意味するが、この電源の仕様を周波数10.7MHz、内部抵抗50Ωと設定した。
そしてR1は、1KΩの抵抗とした。
V1はインピーダンス=50Ωの10.7MHzのミクサのつもりで、R1はインピーダンス=1KΩのSSBフィルターのつもりだが、これらのインピーダンスの値は根拠は無く、単に両社が20倍違っていた場合を想定しただけ。
果たしてこの考え方で良いのかは分からない。
【整合状態にするには、どうすれば良いか?】
① R1の消費電力を最大にすれば良い。(R1に流れる電流を最大にする)
R1の消費電力(P)=I×I×R
② この時、V1の消費電力はR1の消費電力と同じになる。
【シミュレーションの結果】
まずは、ソフトを走らせた結果の画像が下図。(グラフはL1の電流の変化の様子)
C1、L1、R1のそれぞれの電流波形を表示させたのが下図。
C1、L1、R1それぞれの電流の変化の様子がグラフ化されている。
グラフに表示された信号の周波数は10.7MHz・・・と言う事は1秒間に1070万回の振幅を繰り返していて、その動きの中で瞬間的には「0」と言う状態も存在する。
電流波形の振幅の位相がC1、L1、R1でそれぞれ異なる事は分かった。
しかし・・・考えれば考えるほど何が何だかさっぱり分からなくなる。
一歩前に進むには、こんなことの繰り返しで地道に進んでいくしか無いだろう。
本稿続く・・・