国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

参議員-運輸委員会-2号 昭和五十五年十月十六日 第20話

2017-01-20 10:45:28 | 国鉄関連_国会審議
皆様、長らく開けてしまいましたが再び参議員の国会議事録から再開させていただきたいと思います。

当初の整備新幹線計画

国鉄問題が議論されている中で、整備新幹線の建設が進められようとしている矛盾に対して日本社会党、鳥取県選挙区選出の「広田幸一参議院議員」が質問されているのですが、1980年(昭和55年)度4月現在でて五兆二千三百億円の費用が必要で、年間三千億円の赤字が出ると、運輸省が依頼をした運輸経済研究センターの試算で出てきている、更にこれを国鉄に押し付けるとなると、現状では国鉄の赤字路線を廃止したうえで、新たに年3000億円の赤字を生み出すものを押し付けるのかと、極めて正論を述べています。
さらに、これに対して運輸省としては、現在各省庁などと事務方で調整しているがなかなか難しい問題であると、問題に踏み込むことを避けているように思われます。

さらに、ここは注目すべき点かと思うのですが。

「北海道なんか、私この間行ってみましたが、あれを切られるともう五〇%は国鉄の輸送機関がなくなってしまって、北海道の開発はどうなるかというような問題を私は生に聞いてきたんですがね。」

実際、昭和55年当時の国鉄路線と現在のJR路線を比較すると、見事に線路が剥がされてしまっているというのが見てといることが出来ます。
最近)として転換される等、JRとしての路線はそれこそ大きく減少しています。

さらに、下記にも書いていますように。
国鉄は再建するための改革をこれから進めようというなかで、こうした赤字を増やすものを更に押し付けるのはどうかと言う視点で質問しています。

「 赤字の国鉄をいかにしてここで再建をするかということで、国鉄も一生懸命にやっておるわけでしょう。こういうものをまた引き受けなきゃならぬわけですよ、国鉄としてはね。しかも、これから論議になると思いますけれども、いわゆる九十線という赤字路線、これを切っていくということでしょう。さっきもお話がありましたように、」

現在の整備新幹線計画

まぁ、これに対しては政府としては明言を避けるというか、お互い持ちまわって逃げを打っている、そんな風に見えてしまうんですね。
さらに、政府としては。
最近はどうも財源の審議は停滞しておる・・・と暗に財源が無いことを認めています。
実際、1975年から1989年まで継続して赤字国債が発行されており、現在も良く問題になる国の借金問題に行きつく部分でもあるわけです。
実際に、自国消化の国債ですので、外貨建てと違い償還に際して実際の現金を用意しなくてはいけないとはなりませんが、あまり好ましい状況でない事だけは確かと言えましょう。

山路進鉄道監督局長としても、この辺は非常に歯切れが悪いというか、以下のような発言をされています。
いわゆる、言語明瞭、意味不明瞭と言うのでしょうね。

「交通体系全体について御関係のある国土庁、それから大蔵省、自治省、それから私どもとが集まっていろいろ議論をしているということでございまして、従来から、いまお示しになりました運輸省の方の調査もございますし、それから国土庁の方の調査もございます。今後こういった問題について、非常にむずかしい問題でございますけれども、やはり最後は事務的に詰めなきゃいけないということでございます」

ようは頑張りますけど、各省庁との連携を含めて面倒なんですよ・・・としか聞こえてきません。

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国鉄があった時代 JNR-era

*********************以下は国会審議の本文になります。********************


○広田幸一君 これはどうも政治的な絡みがあるように私ども思うわけです。ですから、鉄監局長にどうだああだ言ったって、私は、あなたの判断には――もう質問するのはちょっと無理だと思うんですが、大臣にちょっとお尋ねしますけれども、政府としては、この新線整備五線について財源をどうするかということで、総理府に整備新幹線財源打合会というのがございまして、構成メンバーは、大蔵省、経済企画庁、国土庁、自治省、総理府、運輸省、こういうふうになっておるようでありますが、どういうふうになっておるのか。これは大臣が御承知なのか、局長の方が御答弁になるのか。ここなんかどうなっておるのか。また、自民党の方としては、国鉄問題調査会の何か新幹線の委員会というようなものもあって、ここでもいろいろやっておられるようであります。
 ついでに申し上げますが、運輸省が依頼をした運輸経済研究センターのこの資料によりますと、まずこれは、五十五年度の四月現在のお金として五兆二千三百億円の金が要ると言っておるわけですね。この資料によりますと、これに必要な五兆円の金を全部国が補助をしてくれた場合にはどうなるかという、こういうのが出ておるわけですね。その場合でも、年間三千億円の赤字が出ると、こう出ておるわけです。運輸省が権威あるところとしてこの運輸経済研究センターに依頼しておるわけです。その出た数字がこうなっておるわけですね。この財源としては、目的税とか国債を発行するとか、建設国債ですね、そういうものをもって充てなければとてもむずかしいだろうということが書いてあるわけですわ。
 まあ、一般的に見まして、これを見る限りにおいては私はノーという数字が出ると思うんですよ、ノーという数字が。そういう感じがするわけですよね。しかも、さっきから申し上げておりますように、赤字の国鉄をいかにしてここで再建をするかということで、国鉄も一生懸命にやっておるわけでしょう。こういうものをまた引き受けなきゃならぬわけですよ、国鉄としてはね。しかも、これから論議になると思いますけれども、いわゆる九十線という赤字路線、これを切っていくということでしょう。さっきもお話がありましたように、北海道なんか、私この間行ってみましたが、あれを切られるともう五〇%は国鉄の輸送機関がなくなってしまって、北海道の開発はどうなるかというような問題を私は生に聞いてきたんですがね。
 そういうような、国鉄に課せられた非常に大きな重荷を担っておるときに、五兆円という金を背負わせるような、こんなことをやるのは、こんなことにもたもたしておるというのは、私は国家的にちょっと判断に苦しむんですが、大臣として、この新線の着工問題について、わかりました、この辺で決着をしますと、する場合にはこういう方針でやりますというようなことはもう出なければならないと思うんですが、大臣いかがでございますか。

○国務大臣(塩川正十郎君) 整備五線の建設につきましては、これは国民的要請が強かったものでございますから、その整備五線について財源の見通しがつけばやるという決定になっております。
 ところで、総理府において設置されておりますその委員会等にもまだ私たちもお呼びにあずかったこともございません。最近はどうも財源の審議は停滞しておるように思うんでございますが、ついては各機関でそれぞれ熱心にその財源問題を研究しておられることもございますしいたしますんで、その辺の内容等につきましては鉄監局長から説明させます。

○政府委員(山地進君) 整備五線財源打合会ということでございますが、いまおっしゃったのは。総理府の審議室が中心になりまして、こういった交通体系全体について御関係のある国土庁、それから大蔵省、自治省、それから私どもとが集まっていろいろ議論をしているということでございまして、従来から、いまお示しになりました運輸省の方の調査もございますし、それから国土庁の方の調査もございます。今後こういった問題について、非常にむずかしい問題でございますけれども、やはり最後は事務的に詰めなきゃいけないということでございますので、まあ党の方でもいろいろお考えになっているようでございますから、そういうものと相呼応しながら、この問題をどういうふうに進めたらいいかということで検討している次第でございます。

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