私と彼の秘密 今思うこと

彼とのLINEは、いつか消した方がいい。
それは、残された人のために…



近づけた夜

2022-08-12 08:22:00 | 日記

夜勤明けの夫が、仮眠から起きてきて、

私の顔を見て、思いついたように、

犬を連れて、出かけようと言った。

山の日に、私は何も予定など無かったから、

気分転換になればと思い、喜んだ。




車を走らせた時は、暑くて一瞬たりとも外に出られないと思った。

気温は、37度。






高速道路をひた走る。

他府県のナンバーの車が、沢山走っているのを見るだけで、ワクワクした。


高速を降りると、ドライブウェイを使って、山をぐんぐん上がっていった。


いきなり、1000メートル以上上がったところで、車を降りた。

時刻は、5時半。

そこは、雲の中の世界だった。

その雲が、風に流され常に姿を変える。

途切れる合間には、眼下に多くの山並みが広がり、

そこに雲海を見た。


夫と私は、犬を挟んで、ベンチに座り、
日が暮れるまで、景色をずっと見ていられた。


何気なく握ったおにぎりを

夫は、美味しいと言って、何個も食べていた。

平凡な夫婦の姿だなあと思った。




日暮れと共に、駐車場には車が増えて、観光バスも数台入って来た。

私たちは知らなかったが、

ここで今夜、天体観測のイベントが行われるらしかった。

スタッフのマイクの声が聞こえ始めた。

日没だ。

寒い。

そう思って、長袖を羽織ったとき、

彼の言葉を思い出した。



つい先日、彼は、朝晩は、肌寒いと言っていた。



夏の大三角形が、見えてきた。

織姫と彦星は、そのうちの二つだった。知らないことばかり。

さらに説明が聞こえてくる。


その間に、天の川が見えるのだけど、今日は、月が明るいから見えないらしい。



また思い出した。

彼の家からは、天の川が見えると言っていた。

彼は、星のことも、よく知っていた。

私も蠍座が、どれだかわかったよ。

北斗七星も、見えて来たよ。




やがて、また、空が雲に覆われて、何も見えなくなった。

イベントは、まだまだ続いていたけど、

私は、寒そうにしている夫に言った。

そろそろ帰ろうか?



車の温度計は、20度。

私は、心の中で、彼に言った。

ねえ、今日はもしかしたら、あなたに少し、近づけたかも?って。




日付が変わる頃、家に帰って来た。


相変わらず、蒸し暑い夜だった。