私の読書傾向には波があります。
自転車やインラインなどのアクティブな生活を送ると読書量が激減してしまいます。
仕事の後に運動して、帰宅してからも自転車の雑誌や地図を眺めたり・・・・・
読書量が落ちて当然です。
しかし、そんな中でもささやかですが読書は継続しています。
今回は三島由紀夫の「仮面の告白」新潮文庫。
本作品は三島の「ヰタ・セクスアリス」
センセーショナルな内容であることで、早速文壇に確固たる地位を築いたという。
今日的には、同性愛や性同一性障害などをカミングアウトされる方が増え、驚きも少なくなったが、昭和24年時点ではどうだったろう?
前半は自分の性的嗜好(同性にしか興味がもてない、血塗られ傷つけられるイメージに性的興奮を覚える等)の告白に終始します。
この辺りは観念としては(つまり頭脳では)理解できるものの、中々心には落ちてきません。
小説としてはどうなのか? と思って読み進みましたが、終盤の収斂が素晴らしかった。
後半は、主人公のあやふやな態度により別れてしまった園子との再開で始まります。
そして人妻となった園子と密会を重ねます。
何をするということではない、所謂プラトニックな関係が続くのですが、何故か性的場面よりも艶めかしい印象を持ちました。
特にダンスホールで過ごすラストシーンは疾走感もあっていいですね。
若者の筋肉、汗、ホールに漂うタバコの煙、酒のグラス、楽団の演奏などを読み手に想像させます。
前半は谷崎を連想し、後半は深沢七郎の「東京のプリンスたち」を想起しました。