モズの眼

動かなくなった「心とからだ」の復活の記録

ブルべの匂い

2012-07-17 | スケート、自転車その他スポーツ

気の遠くなるほど自転車をこいでいると、ある感覚は麻痺してくるが研ぎ澄まされるものもあると思う。

私の場合はふと感じる匂いが気になる。

望月の街を通り抜けるとき、ほのかに味噌の香りが漂っていた。

両側から民家が迫る、旧街道。

匂いも逃げ場がなく漂い続ける。

古くからの味噌屋でもあるに違いない。

市街地から田園地帯に入ると途端に田圃の匂いがしてくる。

草いきれとも違う、水と草の混ざったような懐かしい匂い。

戸倉温泉街はお祭りの最中だった。

綿菓子などの香ばしい匂いと夜店を照らす裸電球が郷愁を誘う。

時間の流れに抗おうと自転車をこぎつづけ、いつしか時空間を超越したような錯覚に陥る。

しかし通過する場所ごとに固有の匂いがある。

嗅覚への刺激は、私に途方もなく永い時間の蓄積を連想させる。

 

 

コメント (3)
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