アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

書誌学者はもともと探偵向きなのかもしれません

2010-07-21 22:03:34 | 本の本
「殺人詩篇」 本の探偵が本物の探偵になる場合


ウィル・ハリス著、斎藤数衛訳、ハヤカワミステリ文庫、1985年

 主人公の書誌学の大学教授は、パセリが好きで、大学の授業が終わるとフライフィッシングをするために車をとばす。学者というカテゴリーに納まることができず、大学を辞することを決めたとき、殺された友人の娘に頼まれて俄か探偵となる。ベトナム帰還兵としてのトラウマ、妻を無くしたことからくるメランコリーなど、もう少し屈折していてもいいようには思うが、ボーイ・ミーツ・ガール的なのりも読者を安心させる普遍の構造として許せてしまう。もう少し「推理小説」的な部分、謎解きの面白さを作者が徹底すれば、ベストセラーになっていたかも知れない。とても面白くなるはずのしかけが、ハードボイルド的展開に押されて読者の楽しみを奪ってしまっている気がする。もう少しミステリアスであったらと思うところはある。

 面白いと思った作者の本は続けて読みたくなるものだ。『殺人詩篇』を読んでから、同一作者の本を書店で探したが無い。「ハリス」の名があり手にとって見たら、『レッド・ドラゴン』、云わずと知れたハンニバル・レクターの登場するトマス・ハリスの本だった。結局、この続編になる『アンティークな殺人』ぐらいしか邦訳は出ていないようだが、ともかくこの1冊は読んで損は無い。


読んでみてね
*amazonで検索したら古本しかありませんでした(しかも1円)絶版かな
そんな本の紹介ですいません

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