「ザ・ウォーカー」 破滅の後「本」を抱え廃墟を西に向かう男の話
「ザ・ウォーカー」 ゲイリー・ウィッター(脚本) 尾之上 浩司(編・訳) 角川書店 (角川文庫)
これが「本の本」かと問われれば、本を運ぶ話であり、あるベストセラーが再び蘇る
そしてその本の価値をめぐる戦いとして主題が展開している
何よりも「本」が現われることで大団円となることで
一応「本の本」として紹介します
B級映画のシナリオかと思うほど、紋切り型の進行にこれは久しぶりに時間の無駄かと心配になった
しかし、読み終えてみれば作者が伝えたい意図がストレートに語られていること
そして何より、予想を裏切って作者の発想に脱帽した
海外小説の問題は、作品が本当につまらないのか、翻訳者が悪いのか
それを判断する能力が備わっていれば良いが
原文で読めないのではいたしかたない
この作品の平板さは翻訳者のせいではないだろう
ほんとにバイオハザードのような映画を見ている気にさせる展開で
短い話ながら最後まで読み切るれるだろうかと残りわずかになるまで心配させられた
破滅に至る最終戦争はいつ何故起きたのか
そして生き残った者が少数であったのに
きれいさっぱりその本を除いてすべての本が処分されたのか
そういった経緯はほとんど語られない
作者の意図のために設定された舞台装置の世界である
深みや厚みを求めるのではなくエンディングがすべてである
短編と言うには少し長いが、これを倍以上の作品にするのは荷が重いのかもしれない
往復の通勤時間で読み切れる手頃さを思うと
丁度良い読み物としてお勧めできる1冊でした
最後ではっとさせられる、気楽に読んで面白い
*追記 大変失礼しました
いかにいい加減に本を読んでいるのか・・これは映画脚本の小説版でした!
B級映画のシナリオかと思うほど・・ではなくてまさにシナリオの小説化で
映画がB級だったのかどうか?!これは今はまだ定かではありません
著者のところに「ゲイリー・ウィッター脚本」と書かれてあるのに気付かないとは
読み終えてブックカバーを外して気がつくというありさまでした
そういうことが分かっていたらら・・
着想ありきの着想としては面白いとその評価は変わりませんが
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