アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

古書の来歴 タイトルに一ひねりが・・

2012-07-13 20:57:00 | 本の本
良い本でした“People of the Book”


「古書の来歴 上」 (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス (著)、森嶋 マリ(訳)、武田ランダムハウスジャパン



「古書の来歴 下」 (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス (著)、森嶋 マリ(訳)、武田ランダムハウスジャパン


読み始めて「どこがミステリ?」と思うところが浅はかさ
翻訳ミステリー大賞(そういうのがあったんですね)受賞作という
そのカテゴリに問題はなさそうです
そう思わせなかったところにも作者の力量がある
問題があるとしたら邦訳タイトル
「古書の来歴」では不満です
それに変わるタイトルを思いつくのか?と言われればその才は私にはない
けれど読み終わってみるとこのタイトルで損をしているのではと思わせる
この本(ハガター)にまつわる人の物語で
本の話であって本の話ではない

しかし、上巻(上下に分ける理由がわからないが)では
いささか読みあぐねることがありました
まさに人のその積み重ねてきた歴史の重さ
愚かさと空しさに読み進むのに気が重くペースが掴めなかった
下巻に至ってようやく一気に読み切る流れができました
後半の展開のためにさまざまに織りなされた縦糸が
最後にその模様を読者に示す

日本人にとってはあまりにも理解しがたい神と民族の運命
しかし、我が国であっても狂気はあり
その残滓が今また勃興し過ちを繰り返そうと増殖している
人に絶望しそうになるが
また人に希望を見出す
古書をめぐるまさに人々の物語でした


書名に惑わされずぜひ一読を

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