アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

ビブリオミステリーというジャンルがあるのか

2021-06-06 16:01:51 | 小説
読書嫌いでも図書室は利用するが


「読書嫌いのための図書室案内」 青谷 真未 (著) 早川書房(ハヤカワ文庫JA) 2020年発行

今どきの履歴書に「趣味」などは書かないのだろうか
最も無難な趣味は「音楽鑑賞」、「映画鑑賞」と「読書」だと思うが
逆にそれでは今どきアピールにならない
「読書」と言う場合、科学や技術系の本ではなく
「文学」あるいは「小説」を読むことを想起することが多いと思うが
「趣味」として扱われるのだからこれは「嗜好」の問題で
好き嫌いだから、強いて読めと勧めるものではない
いつのまにか親しみ好きになっているものだと思う・・
タイトルの「図書室案内」はそうした講釈を踏まえて「適切」だと思う
こんなメリットがあるから「読書好き」になったらというものではないと思うが
図書室にはいろいろ利用法がある
今頃のレポート作成はググってコピペになるのだろうが
デートの場としてはまだいいんじゃないか・・これも昭和か?

閑話休題
ディックの新刊や装丁変更がないかと定期的に書店に出向き
ハヤカワ文庫と創元SF文庫の棚を点検していたらこの本が目についた
「刊行前から大反響!」と腰巻にあり読んでみることにした
読書嫌いを好きにさせるのに
安倍公房読ませるのか?と突っ込もうと思ったら
いろいろ伏線のためのガジェットであり
他の作品は教科書がらみで
とてもまっとうに読書の効能を語る国語の授業を思わせる
ストーリーとしてはちょっと違和感が拭えない部分もあるが
「伏線回収」の妙があり最後まで飽きずに読むことができた

「ビブリオミステリー」というジャンル名があるというのを今さらながら知った
読書好きは「本」が好きなので「本」が題材となっている物語が好きであり
(このブログにも「本の本」というカテゴリ設定をさせていただいている)
作者も当然に「本」を生業とするためにこれをネタとするのは至極当然
直接出てこないが「薔薇の名前」も広義ではビブリオミステリーであり
何より「図書室」が舞台の物語だ
「『バラの名前』便覧」が蔵書として閉架書庫に配架されている設定だが
「便覧」以前に「薔薇の名前」が選書されるのだろうか?
安倍公房を始め著者の読書傾向が表れているのかと想像し
「読書メーター」ランキングで第1位になった「君の嘘と、やさしい死神」と

タイトルに惹かれて「ショパンの心臓」も読んでみた

(いずれもポプラ文庫)
3作品ともに主人公のキャラクター設定が類似し
それが若干無理筋のストーリーの伏線となっていること
伏線をちりばめてそれを丹念に拾っていく作風が窺い知れる
「ショパンの心臓」は着想は面白いのに
活かしきれていないようで残念というか
途中から読むのが苦痛になってしまったが
久しぶりに「読書」に浸ることができ
続けて買いためた本に取り掛かる機会となった気がする
さらに「赤い繭」読んだかな~
ということで本棚に埋もれていた文庫版の「壁」を読み返すという
これは読書再開への良いリハビリになった
「壁」については別項としたい

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