海底4000メートルの深海。そこに広がるのは文字通り、光など全く届かない暗黒の世界だ。ところがそんな暗黒の世界で、酸素を生成している可能性があることが、研究によって明らかになった。場所は太平洋のクラリオン・クリッパートン海域。ここにジャガイモほどの、小さな謎の金属岩が存在する。この岩こそが、4000メートルの深海で酸素を作り出しているというのだ。
この海域ではかねてから、岩石塊に豊富に含まれるレアメタル、つまりはマンガンや銅、コバルト、ニッケルなどの採取目的で、頻繁に探査が行われていた。英スコットランド海洋科学協会のアンドルー・スウィートマン教授らによる研究チームは当初、この岩石塊そのものが電荷を放出し、電気分解により海水を酸素と水素に分解し、マンガンやコバルトなどを生成していると考えていた。