高血圧 日本には1010万800人の高血圧患者が病院・診療所など医療機関で治療を受けています。一方、日本高血圧学会は、高血圧の状態にある人が約4300万人いると推計しています。つまり、高血圧状態にあっても、医療機関を受診していない人がかなりの割合を占めているということになります。
高血圧は基本的に自覚症状がありません。頭痛や息切れ、動悸、頻尿といった症状が現れた場合には、重症化し合併症を発症して不可逆化(血圧を下げても元に戻らなくなっている)してしまっているケースがほとんどです。合併症で命にかかわる疾患につながることもしばしばあります。高血圧が「サイレントキラー」とも呼ばれているの所以です。
正常血圧の定義は家庭血圧で115/75mmHg以下、診察室血圧では120/80mmHg以下とされています。気が付くたびに定義が厳格になってますね。一言でいうと、低ければ低いほど健康寿命が延びるという事が広く認識された結果です。(降圧剤を作っている製薬会社の思惑も少し反映されているでしょうが!)
血圧が高いといろいろな疾患に罹患し易くなります。
そして、血圧が高ければ高いほど死亡率は上がります。
年齢が低い方が効果は大きいです。60歳以下だと、血圧は低ければ低いほど良いという結論になります。高齢者になると、下げすぎるとふらついて転倒したりする危険性も出てきますし、そもそも降圧による効果が低くなるので、高齢者の降圧はほどほどにするべきでしょう。
高血圧は喫煙の次に高い割合を占める死亡原因であり、日本では年間約10万人が高血圧による脳・心血管疾患で死亡しているとされています(図1)。高血圧は平均余命を男性で2.2年、女性では2.9年縮めているのだそうです。
高血圧は脳卒中や心臓病を引き起こす原因になるのですが、これらは死に至らなくても、寝たきりや手足のマヒなどの後遺症によりQOL(生活の質)を著しく低下させる原因にもなります。中でも脳卒中は、認知症に次いで65歳以上の要支援・要介護原因の第2位で16.6%を占めており(図2)、脳卒中と心臓病を合わせると20%を超えます。重度かつ長期の寝たきりの原因は、脳卒中によることが非常に多く、本人は勿論、ご家族にも非常に大きな影響を与えます。血圧を下げることは、長期寝た切りを回避することに繋がるのです。
長くなりましたが高血圧によって寿命の短縮、健康寿命の短縮が証明されていることがお判りいただけたでしょうか。自覚症状が無い事が多く、治療の必要性を感じにくいでしょう。ですが、出来るだけ若いうちから治療を始めたほうが効果が大きいです。治療は薬物療法以外にも、減塩、運動を心がける、肥満を避けるなどいろいろな方法があります。夜間無呼吸の治療も降圧に繋がります。血圧が高めならどうすれば良いのか、しっかり考えてください。そうそう、血圧が高いと認知症にもなり易いと言われていますよ。