かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

当直の夜に

2008年11月04日 | がん病棟で
考えてみれば、本当にひどいことをしているのだ。
いま、目の前にいる人に、あなたはもうすぐ死にます、と言っているのだから。


進行がんにかかっていても、まったく症状のない人もいる。
かなり具合が悪くなっていても、現実を受け入れられない人もいる。
でも、がんという病気は、みずからが死期を悟りやすい病だという気がする。

病とまっすぐ向き合うことができている患者さんは、その時が近づくと、「言われなくてもわかる」のだという。

ではなぜ、あえてワタシはそこで「死にます」と追い討ちをかけるように残酷にも言う必要があるのか?

「死ぬまでワタシはアナタをみています」
「決して最期まで見捨てません」
「死に逝く苦しみを減らすための努力を惜しみません」
「与えられた寿命を全うできるよう手伝います」
「心残りはありませんか?(ないわけはないでしょうが…)」


嗚呼、この思いが伝わってくれていることを真に願う。
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