真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

『私が最も尊敬する外交官―ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六』 (佐藤 優さん 2014年)

2015-04-22 | 読書-歴史
私が最も尊敬する外交官―ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六
佐藤 優【著】
価格 \2,484(本体\2,300)
講談社(2014/08発売)

佐藤優さんのライフワークの一つである吉野文六・元外務省アメリカ局長に関するノンフィクション『私が最も尊敬する外交官――ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六』

日本の新聞記事はリンク貼っても消えるからね。
夢幻と湧源さん

佐藤しょ~おんさん

沖縄返還での「密約」初めて認めた吉野文六氏が死去

生前の吉野氏「歴史にうそ言えない」

大学3年生で
高等文官試験
の行政科、外交科、司法科に全部合格した、ってどんだけ凄いんだ。

[評者]平山周吉さん

吉野文六(元駐ドイツ大使)オーラルヒストリー
正解は、西ドイツ大使だわな。

独降伏後、日本大使館員らをソ連がモスクワ経由のシベリア鉄道で満州まで送り届けてくれて、よもやその3カ月後に中立条約を破って攻撃してくると考えた日本外交官(政治家もだな)は、ハルビンの宮川総領事以外には誰もいなかった、と。

吉野は帰国途中、ハルビンで宮川舩夫総領事に出会う。
氏名50音順総名簿 - シベリア抑留死亡者名簿
No. コード 推定氏名 漢字氏名 生年 階級 死亡年月日 地域 埋葬地 所在地
39903 D5-004 ミヤカワ・フナオ 宮川 舩夫 1891 総領事 1950/3/29 モスクワ州・第27(モスクワ)収容地区 モスクワ墓地・ドンスコイ寺院 ドンスカヤ

大島大使のトホホぶり詳細に。
佐藤氏がケシカランと強く思っていることもあり、強調されるのだが、実際に大いに問題ありだったな。
ドイツ語の会話力がそれほどでもなかったことなども。

大島に「倉庫の酒と肴を避難先まで持ってこい」と命じられて2度も決死(既に独に制空権なく、P51が跳梁)の運搬「業務」にあたったことなど、吉野氏が生きながらえたからこそわかったことだわな。

もし、吉野氏が運搬中に銃撃などされて亡くなっていたら、「重要書類を運搬中に」とかいうことにされていただろうし、取材の対象になる機会がなければ、誰にも知られずに終わっていたことなのだろう。

政策研究大学院のインタビュー(平成11年)では語られていない?

文語で岡崎久彦氏が語る、甲谷悦雄。
甲谷悦雄なる人物あり。かつて、陸軍武官としてロシアに勤務し、ゲーペーウーが次々に繰り出したる美女と次々に歡樂し、毫も隙を見せず職務を全うし、ゲーペウーの擔當官をしてガスパジン・アペティートゥヌイ(食慾旦那)と嘆かしめた豪の者なり。

1941年冬、満洲国軍官学校卒業間近に関東軍の甲谷悦雄中佐の講演があった。講演の中で中佐は、近い将来スターリングラードでドイツ軍とソ連軍との決戦がある。その勝者が世界を制すると断言した。現に1942年8月からスターリングラード攻防戦が始まり、中佐の予言通りになった

米の誘いに乗らずに帰国して戦後も日本で活躍した甲谷大佐。
Most widely held works by 甲谷悦雄

Stanford Universityにも

冷戦期ゆえだな。
優れたソ連の分析は、日本語だろうとしっかり押さえていました、と。

遣独潜水艦の件もいろいろ。
そりゃそうだわな。ドイツ側で受け入れ手配に当たった日本の若手スタッフだもんな。
伊呂波会関係

蛇足:
冒頭、いきなりびっくりさせる記述。
ベルリンの日本大使館ロビーに落ちていた「1トン爆弾」の不発弾を現地職員が4人ほどで絨毯にくるんで向かいの公園まで運んで行って置いてきた、と!

吉野が8月1日に新京から東京に飛んだ(偶然座席が確保できた)のが、
三菱 MC-20旅客機/陸軍九七式重爆撃機なんて細かいことまで分かっているくせに、1トン爆弾との発言をそのまま。

1トン爆弾(2000LB弾だろう。1トン近い重さ)を、基地のようにリフト等の器具なしで4人で担ぐことができたとは思えない。
台車等に乗せるとしても、4人の人力だけでは持ち上げることさえできない筈。

4人が重量挙げの選手でも。
サイバーダインのロボットスーツがあっても無理だろ。

何十年も昔の話を、ご老人の記憶が混乱しても仕方がない。
4人で器具なしで運べるのはどのくらいまでかな?

一桁違いそう。

一番下の写真が2000LB爆弾
これは豪空軍だが、わかりやすい

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