真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

森まゆみさんの『昭和ジュークボックス』から女性の社会進出に話は転がる

2010-06-17 | 読書-エッセイ/小説etc
名著!

『昭和ジュークボックス』
森 まゆみ【著】
旬報社 (2003/03/10 出版)

ちくま文庫

森女史の父君(歯科医)は植木等さんと酒場で飲んだことがあり、「あんなにまじめでいい人みたことない」と娘に語った由(スーダラ節)。
なるほどなるほど。

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古い家族写真の威力。
当初は写真を掲載する予定ではなかったというが、写真のおかげで本書の魅力が倍増~三倍増している。

中年以降の開高健さん(若いころはやせていて顔も細かったので、別人のよう)を思い出してしまうのはワタシだけだろう。

女子大学生の就職難が強調される。
あの頃、4大を出た女子を採用する日本のカイシャは稀だった。
「自分よりも遥かに有能な女性の多くが家庭に引っ込んでしまった・・・」というのが後半強調されるテーマのよう。

こうしてみると、戦争中も日本に暮らしたユダヤ人の家族に会いたいという理由でGHQに応募採用され来日しただけの、専門家でもなんでもない若い女性が新憲法にひょいと盛り込んだ女性の権利の革新性が際立つのかも。

とはいえ、憲法のお題目だけでは社会はなかなか変わらなかった。

どこで読んだのか忘れたが、日本でも放映されて多くの人々にインパクトを及ぼした戦後のアメリカのホームドラマの狙いが、「復員した男子が職にあぶれてしまうので、戦時に社会進出した女性を家庭に回帰させるために専業主婦の魅力をアピールする意図があった」という説明があるな。
この説の評価はどうなのだろう。

アメリカは戦時中の女性活用がすごかったようだからな。
というか、それで女性の社会進出に弾みがついたといったほうが良いのかな。

関連過去エントリ:
末は博士か大臣か
「短現」は日本海軍が意図せずして生み出したビジネススクール

日本は(二昔前くらいまでは)女性パワーを十分には活用してこなかったが、軍事方面に多くの優れた才能を割かずに済んだという冷戦のメリットを享受していたよね。
アメリカは女性パワーを活用してきたが、(冷戦期を通じて)軍事に多大な人的・経済的資源を投入してきた。
というと乱暴?

女性パワーを活用してこなかった社会。
軍事に優秀な人材を多く割いてきた社会。

高瀬事務所なんとなくブログ
(リンク集として)

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