真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

「近藤さんのよせ書き フィリピン 戦場で拾われた記録」BS1スペシャル

2022-01-08 | テレビ等
「近藤さんのよせ書き フィリピン 戦場で拾われた記録」 - BS1スペシャル
当該「よせ書き」がフィリピンの戦場で米兵に「拾われた」ということになっている。
「拾った」米兵(故人)が家族にそう説明していたので、そういうことになっている。
実際は、どうだかわかったものではない。日本兵の遺体から記念品を漁った米兵は多いのでね。

まあ、よせ書きを綴じて帳面になっているものなので、常時肌身離さず身に付けていたというよりも、背嚢か何かの中に入れていたのだろう。
ゆえに、(遺体から引っ剥がしてきたのではなくて)遺体の近くにあった荷物から拾ったのだろう。

元米兵の遺族から相談を受けたJICA幹部氏→岡本行夫氏からNHKに持ち込まれたものらしいことが示唆される。
単なる日章旗へのよせ書きなどではなくて、職場の同僚らしきメンバーがそれぞれ工夫を凝らした一葉を寄せているところがユニーク。
イラストも多数含まれ(初期のサザエさんのような絵柄の漫画的イラストも)、元米兵の娘さんが指摘する通り、価値が高いと思われる。

「#近藤さんのよせ書き」のTwitter検索結果 - Yahoo!リアルタイム検索
南面堂も再放送をたまたま観たのだったが、あまり反響があったようではないな。

よせ書きの中の時計塔の絵から「中島飛行機武蔵製作所」だわなと思ったら、その通りだったという始まり。
日本空襲の全容 : 米軍資料 マリアナ基地B29部隊 1995/04発売 - 真似屋南面堂はね~述而不作

ゼロ戦は凄かった→そのエンジンは中島製→武蔵製作所は航空機エンジンを設計製造、と説明される。
どうしてもゼロ戦の説明になってしまう日本の戦争関連番組だが、栄エンジンばかりが航空機エンジンではないよ。そのくだりは紋切り杉。
マリアナ諸島にB29の拠点を確保した米軍がまず目標にしたのが航空機エンジンの製造所であった、そのわけは・・・と説明すべきところ。

建築・機械工学・地図製作などの製図の業務において、すでにある図面(元図)の記載内容を変えずに他に書き写す行為が「トレース」と呼ばれる。
トレース (製図) - Wikipedia
ということで、中島飛行機武蔵製作所の製図課は、製図担当の男性とともに、トレース担当の女子多数が働いていた職場だったという。
戦況が悪化する前は若い男女が同室で和気あいあいと仕事ができた良き職場だったことが、90代になった元トレース工の女性の回顧から知れる。

愉快だったのは、部隊の名簿からルソン島で戦死した「近藤さん」2名まで突き止められたうち、大阪の近藤さんの縁者に情報収集に行ったところ、当該縁者が、「やんちゃな人だったので製図課で仕事をするような人ではありえない」と断言するところ。
製図工でやんちゃという人物がいてもそうおかしくはない気もするが(やんちゃの定義による?)、取材者が「絵が上手かったというようなことはなかったか?」と念を押すと、縁者氏が、「だ か ら やんちゃだと言うてるやろ」と強く否定する場面w
結局、筆跡鑑定人も繰り出して、よせ書き所持日本兵が「北海道出身の近藤さん」であった可能性が示唆される(が、確証はない・・・と逃げて締めくくる)。

よせ書き拾得米兵(復員後は子供靴販売店経営)の娘さんの英語が綺麗でわかりやすく、書き取り教材に好適と思えるほど。

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