置かれた場所で咲く

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夢見るマリオネットと小さな嘘②

2007-09-14 23:06:39 | あたしをとりまくもの
彼は生まれたときからこの箱の中でそだちました。
この世界観は絶対で、疑うことなんて知らなかったんです。

長いようで短い下積み時代の末、ついに彼はその世界の中心に立つことを許されました。強い強いバックアップ体制のもと、中心に立つことができたのです。

彼は、とかく努力の人でした。今まできいてきたこと、みてきたことから、いっしょうけんめい独自の世界観を確立しようとしました。
しかし、彼にはこなすべきいろいろなことがあまりにも多すぎました。


幸せは長くは続きませんでした。

「もう、彼も長くはないね。」
そんな囁き声も聞こえてくるようになりました。

彼は自分の意志でうごくことを望むようになっていたのです。
彼が一番尊敬している、ピノッキオのように。


もう少し、もう少し踏ん張ってみよう。
そのとき、支えていた糸がぷつり、ぷつりと切れ始めました。

長年培ってきたもの、築いてきたものも、崩れてゆくのはあっという間でした。



糸を切られたマリオネットは、いまだ倒れたままです。