ほそみっちゃんが半年に一度のペースで開いてきたというこのコンサートを、この地域の人たちが楽しみにして下さっているようだ。
一昨年の真夏に参加した時弾いたのは、ショパンの「ノクターン20番 遺作」で、これは随分前に上映された「戦場のピアニスト」で流れていた物悲しいメロディーのノクターン(夜想曲)と、ポーランドの女流ピアニストだったという説のバダルジェフスカ作曲「乙女の祈り」だった。
今回は、チャイコフスキーの「四季」という曲集から「6月 舟歌」と「11月 トロイカ」を弾く。
これらは2009年の4月5日、お城の桜が満開の日、地元の280席ほどのホールで、その当時活動していた「デュオ・ジェミニ」のピアノ連弾と、同級生の声楽家にも賛助出演してもらった、いわゆる自主公演のコンサートでピアノソロしたものだ。4月にちなんでもう一曲「4月 雪割草」も演奏した。
あれから10年近く経ったがまた弾こうと思った。
「四季」は、日本の明治時代の頃に当たる1876年に、チャイコフスキーが音楽雑誌の出版社からの依頼で、1月から12月までのロシアの“風物詩”、行事や季節感をイメージして作曲したピアノ小曲集だ。
1月「炉端にて」2月「冬おくりの祭(謝肉祭)」3月「ひばりの歌」4月「雪割草(松雪草)」5月「白夜」6月「舟歌」7月「草刈り人の歌」8月「とり入れ」9月「狩り」10月「秋の歌」11月「トロイカ」12月「クリスマス週間」
というように、それぞれの月に相応しいタイトルがつけられていて、魅力的なメロディーを作り出すチャイコフスキーならではの作品だと思う。
「舟歌」と「トロイカ」は中でも有名で、「舟歌」はたまにドラマのBGMで聞こえる時もある。
2009年の折、主人の会社の先輩で技術系の方がこの時のホールの録音をCDにして下さった。
この方は音楽についてはあまりよくわからないのだとおっしゃっていたが、私の「舟歌」が気に入ったので車の中でよく聴いて下さっているようだ。
チャイコフスキーのメランコリックなメロディーが、聴く人の気持ちを惹き寄せるのだろうと思う。

大学生になった時に声楽科の同級生たちが一番先に歌っていたイタリアの作曲家トスティの歌曲。
ほそみっちゃんの伴奏をする「セレナータ」と「夕べに」は、あの当時の初々しい気持ちを蘇らせてくれる。
もう一曲は「You Raise Me Up」
2002年にアイルランド&ノルウェーの二人組「シークレット・ガーデン」が出した曲だそうで、ちょっと黒人霊歌のようだと思ったりした。
「You raise me up」は、「あなたは私を立ち上がらせてくれる」「私を元気にしてくれる」というような意味。
伴奏を弾いていても感情移入がしやすいメロディー運びの歌。
他には、今回私は初めてお会いするクラリネットのゆかりさん。敬子さんが伴奏。
彼女の吹く「ポケットサイズソナタ」はクラリネットの曲としてはとってもポピュラーで、ちょっとジャージな(ジャズっぽい)作品だ。
敬子さんとは初めてピアノ連弾もするが、初めてなのに息がぴったりで快適だ。
プログラム前半はクラシック中心後半はポップスなど。楽しく和やかな時間を共有できれば嬉しい。