横浜中華街。 横浜屈指の観光スポットであり、中華料理店の集積したエリアと思われているが、ここをひとまとめにして“チャイナタウン”と言ってしまっては、この街に申し訳ない。 400m四方のこの一角は、碁盤の目のように整然と区画整理され、それぞれの通りに名前が付いている。そして、その路地には路地の特色があり、雰囲気も性格も異なるのだ。 かつて「HANAKO」の中華街特集の中で、《活気の市場通り 人気の香港路》との見出しをつけて各店を紹介していたのが思い出される。ここ香港路は格安のお店が並び、庶民にとっては人気の路地となっているのだ。 もう十数年前になるだろうか、香港路の一角に「大福林」「謝謝」「仁華」という、500円のランチを提供する料理店が固まっていた。この3店を線で結ぶと三角形ができるので、我々はこの辺りを「500円デルタ地帯」と呼び、毎日、泥濘の中に足を運んでいたものだった。 「仁華」は閉店してしまったが、残りの2店は今でも500円台ランチを継続している。最近は彼らに続くように、この路地の何軒かが格安のランチを提供し始めたので、今日は、それらを完全解剖してみたい。 揚州酒家 ご存知、揚州飯店グループのお店。かなり早い時期からここに店を構え、安くてボリュームもあり美味しいランチを提供していた。 もう記憶が定かではないが、この路地では廉価ランチの先駆者的存在だったと思う。 我々がよく通っていた頃は、確か530円とか550円だったと記憶している。それが時代とともに値上がりし、チョット前はこのような価格になっていた。 ところが最近、どういうわけなのか、ランチの“定価”を“低下”させているのである。これはこれで嬉しいのだが、看板を正式に書き換えていないところをみると、どうやら期間限定の値段なのかもしれない。 ということで、この日食べたのは「鶏肉の香味甘味噌炒め」。 580円! ライス・スープ・ザーサイはもちろん、食後の杏仁豆腐まで付いてこの値段である。 香味甘味噌が旨い。それの絡んだ鶏肉・玉ネギが旨い。しかもボリュームがある。若い人なら、これだけでご飯3杯は軽くいけてしまうだろう。周囲に誰もいなければ、最後に皿に残ったタレの中にご飯を投入して4杯目も食べてしまうかもしれない。 食後の杏仁豆腐。昔と変わらずいい味出している。でも、以前はライチがはいっていたような気がするけど…まあいいか。ここの杏仁豆腐は、私の好きな部類の一つだ。 ランチに対する店の心構えもできている。私のあとからサラリーマンが2人でやって来て、勢いよく「CとD!」を頼んだ。 しばらくすると、まず最初に麻婆豆腐が運ばれてきた。ライス・スープ・ザーサイは2人分。 2人でシェアして食べるということを、言わなくても心得ているのだ。 近所のお店の従業員が食べに来ているのもうなずける。 問題点もある。それはタバコの煙だ。 たまたまこの日は、私のテーブルの横に女2人組みが陣取っていた。テーブル間は結構狭い。 その2人が、なんとランチを食べながらタバコを吸っているのである。メンソール入りの長いタバコだから、なかなか吸い終わらない。 チンジャオロースを食べ、タバコを吸い、スープをすすって、またタバコ。だから煙には中華味が混じっている。 これが、美女の吐き出した煙なら、受動喫煙も許してしまうのだが…この日はチョットねぇ… 杏仁豆腐。柔らかいタイプで美味しい。 白鳳 「揚州酒家」の2軒隣りの地味な店。両店の間にあるのは、行列で有名な「海員閣」だ。 こちらのランチも、少し前には600円台だったのを、最近は550円にまで下げている。「海員閣」の両サイドがランチ価格を下げているというのは、何か意味があるのだろうか。 これは2000年当時のランチメニューと価格だ。今回の値下げは20世紀末の値段以下まで下げるという画期的なもの。 と、単純に比較してはいけない。メニューをよく読んでほしい。この当時のランチにはライス・スープ・ザーサイ・餃子・杏仁豆腐がついて600円だったのである。 これから考えると、ランチサービスから餃子を外し、550円に下げたということで、はたして値下げなのか値上げなのか、よく分からなくなる。 まあ、大食いの方でなければ餃子は不要と思われるので、これはこれで良い変更と考えたい。 ということで、この日食べたのは「酢豚」。 550円! ライス・スープ・ザーサイはもちろん、食後の杏仁豆腐まで付いてこの値段である。ついでに言えば、スープもお代わり自由だ。 豚肉は7切れ。問題はその使用部位がどうかである。 まあ、この値段だからね、あまり多くは期待できない。2切れほど食べてみて分かった。洋服の生地で言えば「端切れ」だ。グランドメニューでは出せないが、ランチの酢豚としてなら《まあ、いいか》的な部分。 ピーマン、玉ネギは炒めすぎず、かといって生っぽくもない、丁度良い火の通り具合である。甘酢のタレもそこそこ美味しい。 フロア係(女性)の接客態度も悪くはない。 私の隣テーブルに、若夫婦が幼児をベビーカーに乗せてやってきた。彼女はベビーカーを邪魔にならない事務室前に置かせ、「何歳ですかぁ?」なんて訊いている。 その後は、料理を運んでくるたびに、幼児に声をかけたり、若夫婦に話しかけたりしていた。 よくある“淡々と作業をこなす”といった姿勢ではなく、お客とのふれ合いを大切にしているように見えたが、でも、もしかしたら単に子供が好きなだけだったりして…。 食後の杏仁豆腐。これは添加物が多そうなお味。好きじゃないなぁ。 大福林 旧500円ランチデルタ地帯を形成していた一軒。それほど古い店ではないが、ずーーっと庶民的な値段でランチを提供し続けている。 そんなことから、昼時は近所の会社員や工事現場の労働者でいつも賑わっている。 ちなみにこれは2001年頃のランチメニューと価格。今は定食形式が4種類に麺類・丼類が各1種類あるが、当時は4種類だけだったんだなぁ。 ということで、この日食べたのは、またしても「酢豚」。 530円! でもこんな値段だから、杏仁豆腐は付かない。勘弁してね。 ここのは「白鳳」と違いニンジンも参加して酢豚らしい色彩になっている。やっぱり酢豚にはニンジンの赤が必要だ。それにピーマンの緑、玉ネギの白が絡んで、「大三元」が完成するのだ。 肉の量は、この値段にしては多い。当然、肉質はイマイチであるが、コロモもちゃんとしているし、甘酢のタレもそこそこ美味しい。野菜類も炒めすぎず、かといって生っぽくもない、適切な仕上がりである。 スープは干しエビ、玉子、野菜の入った優しく穏やかな味わい。 これで530円なら、十分納得できるランチであった。 ただ、問題もある。いつものことながらタバコの煙問題だ。 この日も狭いテーブルに相席で、プカプカやられるもんだから煙くてしょうがなかった。せめて昼時くらい禁煙にしてほしいものだ。 ちなみに、先日入った「サイゼリア」では、午前11時から午後3時まで、完全禁煙になっていた。 龍城飯店 7月、「山水苑」跡にできた新しい店。オープン当初はそうでもなかったのだが、最近は結構呼び込みをやっていて、昼時は近所の会社員などに混じって観光客っぽい人たちも多く見受けるようになってきた。 私は、呼び込みっていうの、なんだか昔のキャバレーなんかを思い出させるようで、あまり好きじゃないのだが…。 最近の中華街は、料理店だけではなく、甘栗販売、手相占い、さらには食べ放題店の呼び込みが多くなっている。なかには、かなり遠くの店が大通りで呼び込みをしていたりして、ずいぶん街のイメージが変わってきたような気がするのは、私だけではないだろう。 ということで、この日食べたのは、またしても「酢豚」、と言いたいところであるが、ここの酢豚ランチは680円。 500円台ランチシリーズとしては、これに手を出してはいけないのだ。 だから中華風しょうが焼き。 580円! 結論から先に言うと、 旨い! 醤油と中華系香辛料で調理されているようで、生姜の味はきつくない。だから、中華風生姜焼きというよりも、中華焼肉といった雰囲気なのである。 分量的にも申し分ない。 生姜焼きの下に敷かれたキャベツの千切り。これが肉の熱に蒸されてしっとりとして、しかも中華テイスト混じりの生姜焼きのタレが絡み、ご飯のおかずに丁度よく仕上がっているのだ。 今までに食べた「中華風生姜焼き」の中では、かなり美味しい部類に入るだろう。 食後の杏仁豆腐。味がなくて不味い! これは要らないわ。 参考→オープン初日に食べた酢豚 オープン当初は630円ランチだったんだねぇ。今、思い出した。ということで、ここも値下げをしているのだった。 謝謝 500円台ランチ界の“帝王”である。昔っから500円でランチを提供している優れ者だ。 この店はサービス精神がないとか、ランチでは取り皿を出さないとか、夜はこれで1000円?というような麺を出しているとか、いろいろなことを言われているようだが、ことランチに関してだけ言えば、500円という値段でなかなか美味しいものを出し続けていることに、私は敬意を表したい。素直に「凄いなー」と思う。 ということで、この日食べたのは「豚肉の四川風黒豆炒め」。 500円! この値段だから、もちろんデザートは付かない。 薄切り豚肉はなかなか柔らかくて、黒豆炒めの味わいがよく浸み込んで美味しい。このメインを支える野菜類やキクラゲも、タレが絡まってよく仕上がっていた。辛いながらも好きな味付けであった。 ところで、この店は愛想のなさが話題になったりしているが、この日、1階フロアを担当していたお姉さんはいい感じだったよ。 『ランチの1番ですね~ぇ』 『は~い、ど~ぞぉ~』 言い方を文字で表現するのは難しいが、だいたいこんな感じだと想像してください。 そしてお客に対する気配りもありがたかった。というのも、食事を終えて立ち去るとき、私は大事なメモ帳を椅子に置き忘れていたのだが、すかさず「お忘れ物ですよ~」と声をかけてくださる。 席を立って3歩ほどのときだ。手帳の色は椅子の色と同じなのに、よくぞ気づいてくれたと思う。 そんなわけで、この日は500円でいいランチタイムを過ごすことができた。 謝謝! でも、夜は行かないだろうなぁ… 今はなき 懐かしの仁華 すごい店だったなぁ…。 何がって、いろいろあるが、記憶に新しいのは酢豚のタレの“色”。私の写真ストックを探してみたが、どうやら廃棄してしまったようで見当たらないのが残念だ。よくある色ではなかった。 紫がかった、どぎつい色をしていたなぁ… それから、あのドア。ガラスが割れていて、なぜかずっとそのままだった。 そのドアも完全には閉まらなかったけど、別に不自由はしていなかった。 小さい子が店内で遊んでいたな。今ではこのような光景はめったに見られないけど、以前はこんなことはごく当たり前だったんだろうね。 閉店する直前のランチメニュー。懐かしいなぁ…。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね 「ハマる横浜中華街」ランチ情報はコチラ⇒ |
よく利用したのですが、いつの頃からか土日に840円のランチを出すようになりました。
でもたまにまた500円ランチが出たりして、ちょっと規則性が読めないです。
平日ランチの食材が余っている時だけ、土曜日も500円なのかもしれません。
私は土日ランチには出かけないので、謝謝が平日価格でランチを提供することがあるとは知りませんでした。
へえ~、ですね。
この前土曜に前を通ったんですが、840円でした。
まわりも同じでした。
悩ましいです。
ずいぶん値段が違うんですね。
あまり土日に行かないもので…
そこらの大学だったら卒業論文として
提出してもおかしくない内容であります。
改めて感謝!
こんな学部があればおもしろいですよね。
平日ランチを楽しんでください。
1ヶ月ほどリニューアルにかける模様です。
ついでに謝謝は土曜日の500円ランチを復活させてました。
500円ランチの垂れ幕まで出てました。
さすがに次の連休時には消えると思いますが。
数人ならば、栄楽園とか金陵など非常にウケが
いいかもしれませんが、30人から40人となると
大通りしかないかなぁ、と。
これまでは広東飯店、重慶飯店で開催して
きましたが、いざとなると
思い当たる節がなく、かといって
マン、ヘイ、カの三大楼は予算オーバーに
なるでしょうし。
なかなか悩みどころです。
私も貼り紙を見ました。かなりの長期間休業です。
でも、忘年会の受付などは行っているようですね。
再開を待ちましょう。
もう、忘年会の予約シーズンですかぁ…
中華街で30~40人というのも難しいですよね。