中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

稚内~コルサコフ

2015年09月14日 | 美味しい情報(横浜以外)

 先日の記事で昔の樺太(現サハリン)のことを書きましたが、今日はその続きです。

 南樺太が日本の領土になったのは1905年。それから6年後の1911年に、日本郵船が稚内~大泊間の定期航路を開設します。
 昔の日本郵船といえば北米航路が有名ですが、こちらの樺太航路についてはあまり情報がありません。
 同社のHPを見ても全く触れられていないのです。

 函館や札幌の中央図書館のデジタルアーカイブで写真だけは見ることができますけどね…
 日本郵船 樺太航路


 稚内発コルサコフ行きのフェリー

 そんな郵船の樺太航路も第2次世界大戦以降は途絶えてしまいます。もちろん航空路もありません。
 樺太出身者が簡単に故郷を訪れることができないまま40数年が経った1991年、ソ連が崩壊します。

 そこで現在のロシアが誕生したわけですが、経済的な混乱のなかでロシア政府は外国資本の導入により、樺太の石油・天然ガス開発を進めることになりました。サハリン1プロジェクトというやつですね。


 フェリー船内の自販機。缶ビールは100円!

 そこにアメリカと日本が参画し、サハリンと北海道を行き来する人々が増えてきます。当初はチャーター便で飛んでいたのでしょうが、やがて北海道とサハリンを結ぶ定期航空路線の計画が持ち上がり、1992年にサハリン州が出資してサハリン航空が設立されました。

 北海道側の空港候補地を募ると旭川と函館が名乗りをあげ、国会や運輸省に対する陳情が始まりました。
 さてその結果は、どうだったのでしょうか。「函館」の勝ちですね。地図を見ても分かるように、旭川は北海道のほぼ中央に位置します。
 一方の函館は最南端。これなら誰が考えても旭川が最適となるはずなのですが、結果は違いました。


 行きの船内食


 帰りの船内食

 なぜなのでしょうか。当時の地元選出の国会議員の名前を見れば一目瞭然です。函館から選出されていたのは、自民党の運輸族として名高い、あの「佐藤孝行」だったのです。これでは初めから勝負はついているようなもの。どちらが合理的かではなく、どちらが強いかで決まってしまいました。

 こうして1994年、函館~ユジノサハリンスク間の定期航空路が開設されましたが、当時、サハリンと交流している道民の多くは、旭川以北の人たちでした。彼らは目の前のサハリンヘ行くために、最南端の函館まで回り道していたのです。
 飛行機に乗る前に1泊2日を費やす人もいたそうです。なんて無駄なことをやっていたのでしょう。


 狂犬病に注意の案内

 しかし翌年、戦後50年ぶりに稚内~コルサコフ(大泊)間の定期航路が再開されました。ただ使用している船舶がロシア船でしたが……。
 そして1999年、やっと日本の船による定期航路が再開します。利尻島・礼文島などの航路を持つハートランドフェリーという会社が運航するようになったのです。
 船の名前は「アインス宗谷」。

 こうなってくると、函館発着の飛行機の分が悪くなってきます。そこに追い打ち掛けたのが2001年に開設された札幌~ユジノサハリンスク間の航空路線でした。
 現在でもこの区間には週2便が飛んでいることから分かるように、北海道の人のみならず、本州からの人たちにとっても便利なようです。


 1等船室

 サハリンの中で最も大きな都市はユジノサハリンスクです。ですから札幌~ユジノ間の路線にお客さんたちが集中してくるのでしょう、その陰で函館~ユジノ間の搭乗率は低下していきました。
 そして2010年、とうとうこの路線は廃止に。


 2等船室

 稚内~コルサコフ間のフェリーも同じ運命を辿ります。昨年9月、ハートランドフェリーが赤字を理由に、2015年限りでの撤退を決めました。
 今月の18日が最終航海です。

 でも、この航路が無くなると困る人たちが道北には多いようで、第3セクターを設立して現在の運航会社から航路を引き継ぐ方針との記事が出ました。
 
 砕氷船フェリーでも登場すれば面白いのですけどね。

 そして北方4島を日本に返還してもらい、こちらにもフェリーを就航させてほしいものです。
 
 てなことを書いていたら、なんだかサハリン食紀行の記事をアップしたくなってきました。
 近々、小出しにしていこうかと思っています。



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10 コメント

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まさに (ふ゛り)
2015-09-14 12:55:49
行きたくて情報集めをしていました。
しかし一泊二日の船旅ツアーが今月で終わりなんですよね。
というか稚内までが遠すぎます、、
返信する
そーなんですか (吉継)
2015-09-15 13:20:56
函館に空路がつくられたのは確かロッキードの佐藤孝行議員の影響だったのですね。樺太の南半分や北方領土もソ連が終戦間近の混乱時に奪って女性交換手の集団自決など目を背けてはいけない事実が有りますし、この前シベリア抑留者の安否を流し続けたモスクワ放送の日本人アナウンサーやその情報を自腹で手紙にて家族に知らせた青年のドキュメンタリーを平和を希求する視点で某国営放送の番組が放送され感慨深い想いで視聴したが、残念なことに同じ某国営放送がなぜ今日の国会の公聴会を放送しないのでしょうか理解に苦しみます。
返信する
遠い (酔華)
2015-09-16 05:51:30
>ぶりさん
フェリーの料金は安いのですが、
稚内までが遠くて高い!
結局、札幌経由の飛行機になってしまいますね。
来年以降は第3セクターでフェリーが継続されるようなので、
ぜひ自転車で行ってみてください。
レポ、待っています。
返信する
無駄遣い (酔華)
2015-09-16 05:55:13
>吉継さん
サハリン行きの飛行機を函館から飛ばすなんて、
明らかに無理があるのに、案の定、廃止。。。
無駄遣いが多過ぎます、この国は。

返信する
サハリン (とも2)
2015-09-16 06:48:44
これがお話にあったサハリン食紀行の前フリですね♪
続きを楽しみにしております。

下記URLですが、ワシのツーリングナカマが2000年にサハリンにバイクツーリングに行った時のブログ記事ですので、ご参考に…なりますかね?

http://www.geocities.co.jp/HeartLand/7085/sakharin2000/contents.html
返信する
すごい (酔華)
2015-09-17 06:29:02
>とも2さん
ハートランドフェリーのアインス宗谷が就航した翌年!
しかも単独で!
すごい人がいたもんです。
まだ半分しか読んでいませんが、後半も楽しみです。
返信する
稚内 (つちころり)
2015-09-17 21:48:51
シルバーウィークに参ります。おススメの店はありますか?
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ごめんなさい (酔華)
2015-09-18 07:40:23
>つちころりさん
私が訪ねたエリアは店自体が少なく、
めぼしいものはありませんでした。
探せばあるのかもしれませんがね・・・
返信する
Unknown (つちころり)
2015-09-28 20:34:03
稚内行きましたよ。うまいもんばっかりです。
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Unknown (酔華)
2015-10-03 05:54:34
>つちころりさん
いいなぁ・・・
食紀行の記事を楽しみにしています。
返信する

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