第24回東京国際映画祭(TIFF)がついに開幕しました。お天気が心配されましたが、午前中に降っていた雨は昼ごろ奇跡的にやみ、関係者一同ホッ。雨だとオープンエアのグリーンカーペットが大変なんですねー。一昨日お会いしたTIFF事務局の方も、「雨さえ降らなければいいんですけどねえ」と言ってらっしゃいましたが、その祈りが天に通じたかのようでした。
というわけで、曇り空ながらゲストの皆さんがグリーンカーペットを華々しくウォーク。特別オープニング作品『1911』をひっさげてやってきたわれらが大哥ジャッキー・チェンも、江角マキコ、中川翔子という美女お二人をエスコートしながら現れ、その後上映前の舞台挨拶に。舞台挨拶の詳しい内容は、こちらでご覧いただけます。
私は本日は、東南アジア映画を2本。
<アジアの風>部門
『飼育』
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フランス/2011/カラー/110分(もう少し短かったような....)
監督:リティー・パニュ
出演:シリル・ゲイ、チェム・チュオプ、スアム・チュアム
フランス資本のカンボジア映画です。リティー・パニュ監督はドキュメンタリー映画『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』 (2002)などで知られるカンボジアの監督ですが、本作では大江健三郎の小説「飼育」を、時代と場所を移して映画化しています。太平洋戦争下の日本の物語は、1972年、ベトナム戦争時代のカンボジアの農村に置き換えられ、戦闘機の墜落で捕らえられた黒人兵と村人、特に村の子供たちとの攻防や交流が描かれていきます。
当時のカンボジアはロンノル政権でしたが、村は政権に敵対するクメール・ルージュによって制圧されている、という設定です。食料の供出を迫り、強奪に近い形で取り上げるクメール・ルージュの戦闘員を大人たちは心では苦々しく思っているのですが、子供たちは彼らによって洗脳されていきます。中でも、父親がロンノル側に寝返った裏切り者、母親は売春婦だったということで村人から差別されていたポンは、どんどんクメール・ルージュに取り込まれていくのです。そういった状況もしっかり描くカンボジア版「飼育」、見応えがありました。
ポン役のチェム・チュオプのふてぶてしい面構えを始め、素人を多く起用したのではと思われる出演者たちが、映画のリアリティを高めています。また、ベトナム戦争当時の空爆映像が多用されていて、見ていてゾッとするほど。ナパーム弾で緑の椰子林が次々と炎上するシーンが、目に焼き付いて離れません。
<コンペティション>部門
『ヘッドショット』
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タイ/2011/カラー/106分
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
出演:ノッパチャイ・ジャヤナマ、セリーヌ・ホーワン、チャノックポーン・サヤンクーン
この映画は.....ううう、よくわかりませんでした。頭を撃たれた殺し屋が、3ヶ月後に目覚めてみたらモノが全部上下逆さまに見えるようになっていた、というのがキモらしいんですが、時制があっちこっち飛んで、どれがどれやら見ていて大混乱。一応、主人公の髪型でいつの話かわかるようにしてあるとはいえ、出家僧姿にも何度かなるため、丸坊主、長髪、短髪、という区別で見ていても、たくさんの「?」が飛び交う羽目に。おまけに、上のスチール写真で着ている厚手のチェックシャツを最後までしつこく着ているし。その毛羽立ち具合、タイでは暑いのではありませんか、元警官の殺し屋のお兄さん。
ただ、警官時代の彼と殺し屋の彼とにからむ美女2人は、とても魅力的でした。セリーヌ・ホーワンとチャノックポーン・サヤンクーンという女優さんだと思うのですが、個性が際立っていて素敵でした。明日23日(日)午後4時15分から、ムービーカフェで監督と主演男優ノッパチャイ・ジャヤナマ、そして女優セリーヌ・ホーワンの記者会見があるので見に行きたいのですが、うまく時間が合うかしら....。
【本日の拾い物】
TOHOシネマズのチラシ置き場でゲットした、『1911』の宣伝物「1911新聞」。当時の新聞仕立てにするなんて、いいアイディアですねー。
ジャッキー演じる黄興だけでなく、ほかのキャラクターも4分の1紙面で紹介してあるのですが、演じている俳優たちの名前も入れてくれるとよかったのに~。というわけで、本日の拾い物75点。
※スチール提供:TIFF2011