いつもコメントを下さるフィリピン映画に詳しいよしだまさしさんから、ご高著をいただきました。フィリピン映画紹介の自費出版本第2弾「GUIDEBOOK OF PHILIPPINE MOVIES まだまだ熱中! フィリピン映画」です。第1弾のはこちらでご紹介したのですが、2020年7月22日の記事なので、ちょうど1年前ですねー。何という偶然! 今回のご本の中身は次の通りです。
はじめに――4
ネットフリックス攻略――5
フィリピンの映画人 マリルー・ディアス=アバヤ――13
フィリピンの映画人 エリック・マッティ――24
フィリピンの映画人 アントワネット・パダオネ――38
フィリピンの映画人 ミカイル・レッド――48
ロケツーリズムとフィリピン映画――57
フィリピンの映画人 ルビー・ルイス――69
トホホ映画大行進――72
東京国際映画祭攻略――94
LGBTQとフィリピン映画――104
フィリピン映画アラカルト――121
新型コロナウィルスによる影響――34
あとがき――146
今回も中身はとても充実していて、私は特に最初の「ネットフリックス攻略」がありがたかったです。ネトフリでは2、3度フィリピン映画も試みたのですが、まず第一に、ネトフリの検索は検索になっておらず、それ、明らかにフィリピン映画じゃないし、どころか、日本映画から韓国映画まで一緒になって出て来て、えーい、もういいっ! となってしまったのでした。ネトフリのこの役立たずぶりはフィリピン映画の検索だけでなくて、インド映画でも同じこと。誰がタグ付けてんだか、本当にいいかげんで毎回困ります。そして、フィリピン映画とわかっても、どんな作品なのか見当が付かなかったので、なかなか「すぐ見る」にならなかったのでした。
『牢獄処刑人』と『リリア・カンタペイ、神出鬼没』
ほかに、今は亡き大物女性監督マリルー・ディアス=アバヤと彼女の『海に抱かれて』(1998)の紹介、そして『牢獄処刑人』(2013)のエリック・マッティ監督の紹介(ここに、「新型コロナウィルスによる影響」の短いコラムが付いている)に、TIFFで上映されて大いに楽しんだ『リリア・カンタペイ、神出鬼没』(2011)のアントワネット・ハダオネ監督の紹介....と、充実した内容が続きます。「東京国際映画祭攻略」も、ブログで笑ったシーンなどが再録されていて、「よしだまさし、神出鬼没」の面白さがよみがえります。「日本におけるフィリピン映画&フィリピン芸能受容」というテーマでまとめれば、それだけでも1章にできるぐらいの情報量をよしださんは持っておられるはずなので、それらも足して、市販本として残せないかな、と今回は強く思いました。
それというのも、編集がもう少し工夫されていれば読みやすくなるのでは、と拝読しながら思ったからです。前著(上写真)と合わせてフィリピン映画紹介の市販本にするべく、一度換骨奪胎して編集し直してご覧になるとよいのでは、と思いますがいかがでしょう? 章立てにするだけでも、読む方の記憶が整理されて、本の内容がよりよく理解できます。例えば――はじめに:フィリピン映画の簡単な歴史、第1章:フィリピン映画人とその作品、第2章:多様なフィリピン映画(アクション映画、コメディ映画、トンデモ映画、LGBTQ映画、トホホ映画etc.)、第3章:日本でフィリピン映画&芸能と出逢う(TIFFのレポートや芸能人を招いたイベントのレポートetc.)、第4章:日本で公開されたフィリピン映画と現在配信等で見られる映画紹介、等々――と、大雑把に考えてみても、この2冊がベースになって、それに少し書き足されれば立派に本になるのでは、と思います。よしださんのご文章は読みやすく、作品を知らなくても楽しく読めてしまいます(反面、市販本にするにはちょっと手を入れていただきたいブログ風文章も少しありますが)ので、フィリピン映画の入門書としても最適です。理想を言えばどなたか、フィリピン映画をよく見てらっしゃる編集者さんがいらしたら、いい本になるのでは、と思うのですが、ネックは画像入手ですかね...と、勝手に想像はふくらんでいくのでした。
「まだまだ熱中! フィリピン映画」をご希望の方は、こちらからよしださんにご連絡下さい。今回は1冊、送料込みで1,200円(前の本は1,000円)です。コロナ禍で本の需要が高まっている現在、どちらかの出版社さん、2冊とも購入してマジで企画検討いかがですか?
しかし、これを市販の書にまとめなおすというのは、私のような体系的な知識を持たず、興味を持った部分だけをつまみ食いして楽しんでいる人間には、あまりにも荷が重いです。無理です。速攻で逃げ出します(笑)
でも、そのように評価していただけましたこと、とても感謝しております。ありがとうございます。
速攻で逃げるのはチョイ待ちにしていただいて、なぜ、よしださんのご本を読みたいか、なんですが。
よしださんの書かれるものは、「あ、この映画、面白そう。見てみたい」と思わせてくれるのです。ヴィック・ソトを知らなくても、イライジャ・カンラスがどっちの坊やかわからなくても、『Jack Em Popoy』見てみたい(ホンマにアクションすごいのか??)、『Game Boys』もちょっと拝んでみようか(YouTubeで見られた! 好みのイケメンがなかなか登場しない...)と思わせてくれて、読んでいて楽しいのです。
アジア映画本には、体系だってまとめられた立派な本もあるのですが、「この国の映画、もっと面白かったはずじゃ?」と思ってしまうものもあって、その国の映画の魅力をまず語ってほしいなあ、と思ったことも。
その点、よしださんのご本なら、「フィリピンは面白い映画の宝庫!」とみんな思うのではないかしらん。フィリピン映画伝道師として凄腕なので、ぜひメジャーデビューしていただきたい次第です。
リタイアなさってから、でもいいので、頭の隅にインプットしておいて下さいね。
では、お怪我の予後もお大事に。
それでは、速攻で逃げるのだけはやめておきます(笑)
引き続き、ホームページではフィリピン映画に関するレビューを続けていきますので、いざとなれば対応できるネタを蓄積していくようにしておきます。
また、貴ブログでも「アジア映画巡礼」のこの記事にリンクを貼って下さってすみません。
よしださんのアジア映画方面でのお仕事は、伊藤卓さんとの「電影風雲」誌時代(もう30年前!)から「抱腹絶倒の面白さ! 市販本になってあとあとまで残ってほしい」と思っていたのですが、あの雑誌自体は本にならなくて残念でした。フィリピン映画の方は、ぜひ単行本で出てほしいと思います。
そのためには、フィリピン映画が日本でヒットする、というチャンスがあればベストなので、日本の配給会社の皆様、ポスト・コロナ禍の興行を見据えて、ぜひフィリピン映画にもご注目下さい、と声を大にしても聞こえないでしょうが言っておきます!