「モンスター」/ 百田尚樹(幻冬舎文庫)
百田さんの小説はこれが2冊目。 以前、「幸福な生活」を読んだ。
田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。
彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。 周囲からバケモノ扱いされる
悲惨な日々。 思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた 未帆は、
整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。 そのとき
亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった。
女性の美しくなるための執念と、仕返しにかけるある種の怨念はすざましい。
もちろん、これはこの小説の中にだけ存在するのかもしれないが、
ここまでやることはなくても、実際のところ、ある程度までは同様の「お礼参り」が
あることは否めない。 まさに“執念”の2字が最初から最後まで貫かれている。
ふと、和田アキ子が司会をしてたビューティー・コロシアムを思い出してしまった。
そこにはこの小説と同様、いや本当に可哀想な現実があったからだ。
韓国では、整形なんて当然のことだと言うし、娘の整形を親が薦めるという。
日本では、「せっかく親からもらった身体なのだから」、という一言で片付けられる
ことも、美しくなることが、それまでの惨めな人生を無駄に過ごした分を
取り返しするならば、こういう小説の世界があえて存在してもいいような気もした。
しかも女性として、一番どん底の世界まで身を落とし、それでも美しくなるために
一生懸命働く姿は、正否は問えないが、客観的には肯定できる範疇である。
それは親の金も他人の金もあてにしない、自らが汗して稼いだお金だから。
そんな風にして好きな人とも再会し、しかしながら、ハッピーエンドで終わらない
未帆の人生。 それも彼女のささやかな“幸せ”とよべる時間だったのかもしれない。
私もこの本読みましたよ。
> 一生懸命働く姿は、正否は問えないが、客観的には肯定できる範疇である。
それは親の金も他人の金もあてにしない、自らが汗して稼いだお金だから。
そうですよね。彼女は家族や周囲の人に甘える事はなく、
自分で働いて、揺るがない願望をもって生きているのは強いなって思います。
(ただ、願望の方向を間違ってしまったけどね・・・。)
少女の頃の恋にこだわるのではなく、異性を見極める目が大切なのでしょうね。
>私もこの本読みましたよ。
おぉ、そうでしたか^^
>自分で働いて、揺るがない願望をもって生きているのは強いなって思います。
少女の頃の恋にこだわるのではなく、異性を見極める目が大切なのでしょうね。
恋愛に決まったパターンはないですが。
歪んだ愛情とは別の視点で読めた小説です。
「プリズム」も読了しました^^