京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「コンビニ・ララバイ」/池永 陽

2012-10-25 | Book

「コンビニ・ララバイ」/池永 陽(集英社)

 

読み終わった後の解説で、北上次郎さんがこの物語を、
「重松清と浅田次郎を足したような小説」と書いていましたが、
まったくそのとおりだと僕も感じた。

大手チェーンに入らず、自分流のコンビニ「ミユキマート」。
オーナーの幹郎は息子・喧太を事故で亡くし、そのあとすぐに妻の有紀美を
事故で亡くし、二人を幸せにできなかったことを悔やんでいた。

妻と二人で始めた「ミユキマート」だが、不思議に
同じように悩みや悲しみを
抱えた人が集まってくる。

お人好しで商売気のない店長と、訳ありの店員、そしてお客。
ここでは「ミユキマート」を中心に7通りの人間模様が描かれている。


第一話 カンを蹴る
    堅気の女性・治子に惚れてしまったヤクザ八坂。

第二話 向こう側
治子と八坂の恋の行方と、とあるホームレス。


第三話 パントマイム
    本妻と愛人。 照代とシナリオライダー。

第四話 パンの記憶
栄養堅パンを嫌う役者の卵・香

第五話 あわせ鏡
ツケの借金を踏み倒して逃げた克子とヒモの栄三。

第六話 オヤジ狩りの夜
恋人・満に命じられ、援交や万引きをくり返す女子高生・加余子

第七話 ベンチに降りた奇跡
老人の恋、志賀と和子の場合。



ほぼ幹郎と治子の二人が物語の軸として、各話の中心として
描かれていく。 どの話にも彼らが関わっていくなかで、

それぞれが、様々な人生の苦悩や葛藤を、
不思議に幹郎が関わることでいい方向に展開していくから不思議だ。
そして柔らかく人間の本質を見抜き、いつの間にか
温かい人間同士の交流と一瞬輝く時が流れていく。

通勤の行き帰りの電車の中で、何度も涙が出そうになった作品。
様々な人生の出会いと別れ。
それは一期一会ではない、確かなふれあい。

池永 陽さんの作品は初めて読んだがちょっとハマりそう(笑)


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