goo blog サービス終了のお知らせ 

 ◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

7550 ゼンショーによる米レストラン買収に思う

2006-05-04 | 事業再生・M&A
冴えないネタが続いていたので、たまには本業も少しやりますか。

本日、外食のゼンショーがレストラン「ココス」の米国本社を買収したとのこと。
まずはNIKKEI Net 続いてコメント。
-----------------------------------------------------------------
 ■ゼンショー、米レストラン買収・100億円程度で

 牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーは4日、米国の中堅レストランチェーン、
カタリーナ・レストラン・グループ(デラウェア州)を買収すると発表した。
ゼンショーグループ初の海外店舗となる。
米国での外食事業展開の足がかりとし、「将来的に他業態の展開も検討したい」
(ゼンショーのグループ経営本部)としている。  

ゼンショーの米現地法人、ゼンショー・アメリカ・コーポレーション(デラウェア州)が
5月末をメドにカタリーナを子会社化する。買収額は明らかにしていないが、100億円
程度とみられる。

 カタリーナは前期(2005年12月期)売上高が約310億円。カリフォルニア州、
アリゾナ州などにファミリーレストラン「ココス」119店、「キャローズ」105店を持つ。
ゼンショーは3年前、カタリーナから「ココス」を日本で展開する権利を買い、
国内で「ココス」330店を展開している。
 店舗運営の効率化やメニュー開発など日本で蓄積したノウハウを生かして
米国の店をテコ入れし、店舗網を拡大する。
--------------------------------------------------------------------

 (コメント)

① この記事を見て私は、「セブン-イレブン」の事例が思い浮かびました。
    正確な表現ではありませんが、子が親を買収する点で似ていますね。
   でも私はよく分かりませんが、日本のココスレストランって、日本のセブンイレブン
    のように洗練された運営ノウハウ有しているのでしょうか?
    記事では会社側はマス・マーチャンダイジング・システムを自慢していますけど
    HPの解説を見ても抽象的でよくわかりませんでした。

  それはそれとして、国内の外食市場はすっかり成熟化。中食や食品スーパー
  などとの「胃袋争奪戦」が今後ますます激化が予想される中、海外に成長
  ドライバーを求める手法はアリだと思います。(月並みなコメントですいません)

② 買収とくれば「のれん」。
  さっそくプレスリリースからざっくり試算しました。
   http://www.zensho.co.jp/company/press/060504.html
  カタリーナ社の資本の額  11.5 百万米ドル(2005年 12月末現在)。
  円換算でざっと13億円。  
  買収金額100億円相当としておりますので、  
  時価純資産≒資本の額としますと、  
  のれん=100-13=87億円   

  連結貸借対照表上、90億円弱ののれんが加わる計算。

  ゼンショーの05/12末の財務状況(下記リンクをご参照下さい)を見ますと、
   http://www.zensho.co.jp/documents/ir/report/pdf/sbna200602.pdf
   05/12末で連結調整勘定は61億円、連結株主資本は118億円。
   ということは、近々、のれんの額が株主資本を上回る水準になるってことですね。  
   うーん、となると資本の質はちょっと課題があると言わざるを得なくなります。
   株式交換ではないようなので買収資金をどう調達していくのでしょうか?。
   株主資本比率も決して高くなく(12.9%)、また金利先高感が高まる中、
   これまでのように外部借入での買収が続けられるのかが、この会社の
   中期的な課題となるんでしょうね。

③ ただ、ちょっと気になるのが、米国の会社を当社の米国現地法人が買収するって
  ことです。現地の会計基準では発生する「のれん」は、日本のように20年以内
  の定額償却は行いません。当面は非償却。
  ですので、日本基準での読み替えをしない限り、カタリーナ社に係るのれんは、
  償却されないで貸借対照表上に残る可能性がありますね。 
  ですので、のれん償却費を気にせず買収による利益の上乗せが図られる、
  ってことではないでしょうか?

  ちなみに、当社の06/3期の第3四半期の連結経常利益は75億円と良好ですが、
  うち約11億円は会計方針の変更(減価償却方法)による嵩上げですのでご留意
  下さい。短信のトップに記載がありますので・・・・。
  でも、なぜ今年変えたのか、変えなくてはならなかったのか?。
  その辺の事情、知りたいですけどね。(業績急回復イメージを高めるため?)

  当社は中期経営計画で08/3期の連結売上2,220億円、経常利益200億円を
  掲げております。厳しい業界環境などを踏まえますと率直な印象を申し上げれば、
  やや強引な計画ではないかなと。
  で、計画利益達成のためにいろいろと無理をしてその後に禍根を残さなければ
  いいな、と感じた次第です。

  以上、門外漢による戯言として聞き流してくださいませ。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブックオフで感じた「事業再... | トップ | 会社法施行で加速するのか?... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (バイサイド)
2006-05-07 16:23:03
いやぁ。。。

参考になります。

ありがとうございます。



返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

事業再生・M&A」カテゴリの最新記事