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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

「M&Aの対象にされやすい企業ランキング」に思う

2006-05-30 | 事業再生・M&A

いつもご覧下さり誠に有難うございます。
更新が大幅に遅れてすいませんでした。
・・・あと2分早ければ・・・・。

まずは阪急・阪神問題。
両社、見切り発車しましたねー。930円ですか。まぁ、村上ファンドはこの一件で随分と評判を落としましたし、また売却価格の隔たりも縮小しているようなので、引き際ぐらいは「大人の対応」をして欲しいものです。(月並みコメントですいません。)


本日のネタは週刊ダイヤモンド2006.6.3号の特集
「大買収時代 狙う会社 狙われる会社」
・・・・・まぁ、この手の特集はこれまで色んなところが取り上げて
手垢がつきまくっております。
ただ、ここでも例に漏れずいくつかランキングを掲載しているのですが、
分析の視点とか微妙に差別化されている(特にLBO)と思いましたので、
簡単にご紹介。

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◆対象:上場時価総額500億円から銀行・証券・保険を除く

◆LBOされやすい企業の抽出基準

 ①企業価値÷EBITDA  →11倍以下
  数値が小さいと企業価値が過小評価されている可能性あるため。
  (企業価値=株式時価総額+有利子負債)
  
 ②クロスレバレッジ → 4倍以下
  有利子負債が何年分の利益に当たるかを示し、数値が小さいと、
  負債の返済年数能力が高いためLBOされるリスクあり。

 ③FCF(フリーキャッシュフロー)÷売上高 の3期平均 → 2%以上
  投資をしてもキャッシュフローを生み出す能力が中期的にあるかを示す。
  数値が大きいと、借金返済能力があるためLBOの対象になりやすい。
  (フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー-資本的支出)

 ④FCF÷売上高 →ボラテリティ(過去3年の標準偏差6%)
  キャッシュを安定的に生み出す能力を示す。
  数値が小さいほど返済能力が予測しやすい。


◆三角合併されやすい企業の抽出基準
 
 ①少数特定者持ち株比率 →50%以上
  敵対的な提案でないならば、この比率が高いほど三角合併がまとまる
  可能性ありと。

 ②外国人持ち株比率
  これが高ければ、外国企業との株式交換にもアレルギー少ないものとした。
  高いほど良い。
  
 ③浮動株比率 33.4%以下
  これが低ければ低いほど三角合併がまとまる可能性あり。

 
◆敵対的TOBをかけられやすい企業の抽出基準

 ①浮動株比率  
  高ければ高いほど良い。

 ②少数特定者持ち株比率 →50%以下
  この比率が高いほど敵対的TOBに応じる可能性は低い。


◆投資ファンドから狙われやすい企業の抽出基準

 ①PBR → 3倍以下
 ②ネットキャッシュ比率 → 高いほど良い
    =連結現預金+連結有価証券―連結有利子負債

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(簡単なコメント)

・で、結果まで書いてしまうと怒られそうなので、現物を書店等で
 確認いただければ、と思います。

・結果を見て思ったのは、
 LBOランキングでは、2番手コンビニのうち、サークルKサンクスとローソンが
 上位にランクイン。
 三角合併ランキングでは、イオン系のデベロッパー2社(イオンモール、
 ダイヤモンドシティ)、イオンクレジットサービスといったイオンの主力子会社
 が名を連ねてますし、ABCマート、ドン・キホーテ、などなど有力専門チェーン
 も上位50位の中に数多く入っております。

 このように、リストから「小売業」が買収の有力な目玉であることが
 確認されますね。
 (イオンの場合は、数年前から純粋持株会社構想を掲げているので、
  グループ内再編の可能性の方が高いとは思いますけどね)


 で、三角合併されやすい会社と敵対的TOBをかけられやすい会社の抽出基準が
 ほぼ正反対なので、4つ全てのランキングに顔を出す企業は無いのですが、
 3つのリストに名を連ねているのがありました。

 サークルKサンクスです。

 村上ファンドはすでに唾を付けております。さすがと言うか・・・・・。


ご存知のように、三角合併の解禁は来年5月。
ですが、それ以外の手法は現在でもOK。
物事はこうした机上の計算通りには行かないものですが、
今後の方向性を示す羅針盤としてこうしたリスト、というか考え方には
留意していきましょうか。


・・・・それにしてもコンビニ。既存店売上は冴えないし、改正道路交通法で物流にも少し
影響(コストアップ要因)が出るようですし、株価的に”狙われやすい”状況に
あると、個人的には思います。


以上、本日のネタは・・・・ちょっとオリジナリティ無さ過ぎでしたね。
明日はもう少し工夫します。


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2 コメント

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確かに割安なんですけどね (温故知新)
2006-05-30 18:04:08
 ご無沙汰しています。

 サークルKサンクス、確かに色々な指標を見ても割安で、コンビニですからキャッシュフローも潤沢なのですが、ここんところの業績の冴えなさは「どうしてMAコンサルティングが買うんだろう」という感じですね。大手コンビニで一番売上しんどいじゃないんでしょうか。

 親会社のユニーが伊藤忠との包括協力(そんな言葉あるのかな)を組んだこともあり、ファミリーマートとのコラボor買収が噂された時期もありますが、そこらへんを狙っているのでしょうかね。
返信する
いやぁー、本当っ、お久しぶりですー。 (dancing-ufo)
2006-05-30 21:47:23


いやぁー、温故知新さん。

一連の決算対応は終わったようですね。

お疲れさまでした。



さすが歴戦のプロによるコメント、

私のダラけた本文を引き締めてくれました。



やはり村上ファンドによる今回の取得に

違和感アリってことですね。



でもおっしゃるように、鉄道業界に続き

小売業再編のきっかけになりそうですね。



引き続きよろしくご支援のほどを・・・。



P.S.おかげさまでライブドア事件から

アクセス数が5倍になりました。

これも温故知新さんの熱いコメントの

賜物と感謝致しております。









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