いつもご覧下さり誠に有難うございます。
さて本日のネタは、三菱UFJ信託銀行レポート
「小売業の出店規制と今後の展望」のご紹介と簡単なコメント。
現物はこちらからご入手下さい。力作ですよ↓↓↓
http://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/c200609_3.pdf
ご覧頂ければお分かりのように、このレポートの前半は、
「改正まちづくり3法」の影響をオーソドックスかつ丁寧に分析されております。
で、1つの結論として、
「総合スーパーは競争緩和を通じて、収益の改善が見込める業態として
小売業の中で大いに注目できる」としております。
この点に関しては、以前、丸紅によるダイエー株式買い増しの際に申し上げた通り、
私はこの点には懐疑的であります。
「既存店売上の減少ピッチが鈍化する」ということであれば同意しますが、
収益が改善するというには、もう少し積極的な理由が欲しいものです。
さて、このレポートが非常にユニークなのが、後半において、
出店抑制下で既存地域における小売業者間の競争環境を、
「ゲームの理論」を用いて大胆に分析している点でしょう。
詳細はレポートP.9以降をご覧頂くとして、
結論的には以下の点を主張されております。
①経営者が長期的視点に立ち(無限繰り返しゲームを行い)、かつ低水準の金利を前提とすれば、
利益重視の協調的(≒価格維持的)な関係が生まれる
→言い換えれば、そういう前提条件下では、不毛な価格競争は回避されるのではないか、
ということ。
②競争期間が有限でもある程度長期間ならば、企業間の協調的な関係は守られやすい、
③多少の金利の上昇があっても競合企業の数が少なければ、企業間の協調関係は守られやすい、
で、浅学非才の私は、行間から
「今後、出店規制を受けて、総合スーパーとその競合企業との間で価格維持的な協調関係が
形成されやすくなのではないか?そして、それを(既述の)収益改善の論拠としているのではないか」
という勝手に読み取りました。
でも考えてみますと、「総合ス-パー」は、その名の通り衣・食・住と取り扱う商品が膨大ですし、
一定程度の広域商圏で商売してますから、競合先は半端な数ではない。
となると、ちょっと現実的ではないのかな?と感じた次第です。
因みに、まさにこの道のプロ、温故知新さんはどういうご感想を持たれましたでしょうか?
お手すきの時にコメントを寄せて頂ければ幸甚です。 mOm
ではまた。
さて本日のネタは、三菱UFJ信託銀行レポート
「小売業の出店規制と今後の展望」のご紹介と簡単なコメント。
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ご覧頂ければお分かりのように、このレポートの前半は、
「改正まちづくり3法」の影響をオーソドックスかつ丁寧に分析されております。
で、1つの結論として、
「総合スーパーは競争緩和を通じて、収益の改善が見込める業態として
小売業の中で大いに注目できる」としております。
この点に関しては、以前、丸紅によるダイエー株式買い増しの際に申し上げた通り、
私はこの点には懐疑的であります。
「既存店売上の減少ピッチが鈍化する」ということであれば同意しますが、
収益が改善するというには、もう少し積極的な理由が欲しいものです。
さて、このレポートが非常にユニークなのが、後半において、
出店抑制下で既存地域における小売業者間の競争環境を、
「ゲームの理論」を用いて大胆に分析している点でしょう。
詳細はレポートP.9以降をご覧頂くとして、
結論的には以下の点を主張されております。
①経営者が長期的視点に立ち(無限繰り返しゲームを行い)、かつ低水準の金利を前提とすれば、
利益重視の協調的(≒価格維持的)な関係が生まれる
→言い換えれば、そういう前提条件下では、不毛な価格競争は回避されるのではないか、
ということ。
②競争期間が有限でもある程度長期間ならば、企業間の協調的な関係は守られやすい、
③多少の金利の上昇があっても競合企業の数が少なければ、企業間の協調関係は守られやすい、
で、浅学非才の私は、行間から
「今後、出店規制を受けて、総合スーパーとその競合企業との間で価格維持的な協調関係が
形成されやすくなのではないか?そして、それを(既述の)収益改善の論拠としているのではないか」
という勝手に読み取りました。
でも考えてみますと、「総合ス-パー」は、その名の通り衣・食・住と取り扱う商品が膨大ですし、
一定程度の広域商圏で商売してますから、競合先は半端な数ではない。
となると、ちょっと現実的ではないのかな?と感じた次第です。
因みに、まさにこの道のプロ、温故知新さんはどういうご感想を持たれましたでしょうか?
お手すきの時にコメントを寄せて頂ければ幸甚です。 mOm
ではまた。
さてまちづくり三法のレポート、拝見しました。非常に厳しい言い方ですが前半は機関投資家ならば用意に入手できるセルサイドのレポートや当該官庁の発行物やWEBを切り貼りしただけの内容という印象です。
ゲーム理論はなるほど面白いところではありますが、正直言ってこの手法を改正まちづくり三法の分析に使う意味がどこにあるのか全くわからないというのが本音です。これまたきつい言い方ですが、ゲーム理論での分析をやりたいアナリストに、話を持ち込んで作ったというところではないでしょうか。
さて、じゃあお前はどう思うのかということですが、私は改正まちづくり三法は、確かに競合緩和という形でスーパーの収益に寄与すると思います。レポートと同意見です。しかし、どのスーパーも均等に好影響を受けることはありません。きれいな店舗で、良い商品を、きちんとした接客で扱っているところは理不尽な既存店増収率マイナスから逃れられるでしょうが、いい加減な商売をやっているところは相変わらず既存店増収率は伸び悩むでしょう。それだけ消費者の目は肥えてしまいました。こういうことにならないのはもともとスーパーがない、東京都心みたいなところだけでしょう。
私としてはこのレポートの筆者にもっと「地方」がどうなるかについて述べてもらいたかったと思います。間違いなく拡大している地方と都心の所得格差、膨大な数の地権者がいるためとても再開発はできない市街地商店街、農地を商業主に売却できないために収入の道をたたれる農家たち。少なくともパルコも近鉄百貨店も撤退してしまった一方で、裏金で県庁に強烈な不審をもっている岐阜の現状、持ち家及び自家用車保有率及び個人資産日本一の都市でありながら中心市街地に残った百貨店は大和(しかも再開発で当面は赤字店舗)だけになった富山、などなどの現状を見てからレポーティングをして欲しかったです。
セルサイドはとにかくマーケットに新しい弾を撃ち込むことを商売の主眼とされ、中途半端なものでも出してしまえという調査活動を余儀なくされています。悲しいことです。しかし、バイサイドはありあまる情報と情報収集力、そして時間があるのですから、全国を見通した調査をして欲しかった。そんな風にこのレポートを見て感じます。
なお、ひとつだけ言えば、改正まちづくり三法は5年ごとに見直しになる大店立地法の一回目の見直し(2000年にできた法律ですから)として行われたものです。ということは5年後にはまた見直しがあります。そのときに今回と同じ規制強化となるかどうかは未知数であることを認識しなければなりません。
ちょっとdancing-ufoさんのご質問の趣旨とちがってしまいました。ごめんなさい。
イーバンクの第1四半期は大幅な赤字だった。やはり、ホリエモンが2年前にいっていた通り、不透明な投資があるのは間違いないようである。
銀行で赤字になるのはおかしすぎる。
それにしても、ゲーム理論へのはめ込みはちょっと?なレポートですね。
トリガー戦略の前提となる「低割引率下での無限繰り返し競争」については、金利は先高局面だし、企業に決算期というものが存在する以上、期限に縛られない経営判断というのは難しいものです。
説明に用いられているのは、ゲーム理論を代表する利益行列表ですが、これは2名(社)のプレーヤーが参加する寡占(複占)市場を前提とした単純モデルです。この例では第四象限の値下げ・値下げの組み合わせがナッシュ均衡となるように単純な数列を当てはめていますが、現実には他の象限にナッシュ均衡が存在するケースもありますし、均衡しない競争状態もまれではありません。
したがって、クマさんが指摘したような競争関係の数的膨大さから、そのどこかにトリガーとなる行動(値下げ)が生じてしまう可能性が非常に高い、と見るのが正常です。
実際の競争戦略策定においては、低位でのナッシュ均衡を回避する方向性を志向するのが主流です。温故さんが述べられた「商品・サービスでの差別化や店舗ブランディング」といった手法はまさしくこれであり、競争相手が値下げした場合に、価格維持を選択する方が値下げ追随するよりも高収益となる体質づくりが目的です。
長期的に値下げ競争が減少してゆく理由は、ゲーム理論ではなく、よりマクロな視点から説明されるべきだと考えます。
世界的に見ても、長期的な経済成長と物価下落を同時に達成した例はありません(ゴメンなさい。ウソかもしれない。世界中のデータをあたったわけではありません。中東産油国のような経済構造の場合、そのような期間があった可能性があると思います)。
もはや「価格訴求」は企業の全社戦略としては使えないものとなっています。それにかわる有効な戦略を打ち出せるかどうかは、有能なコンサルタントと契約できるかどうかにかかっているということができます。
おっと、なんというヒドイ我田引水コメント。失礼しましたー。