いつもご覧下さり誠にありがとうございます。
本日は会計士協会主催の研修に参加しました。
会場はご高齢の先生方が多くご参加され、さながら病院の待合室。(失礼!!)
そこはかとなく漂う加齢臭が、場の雰囲気を否が応でも盛り下げてくれます。
で、肝心の内容ですが、企業会計基準委員会の斎藤委員長による、
日本の会計基準を巡る当面の重要テーマなどに関するご講演でした。
国際会計基準との相互承認に向け国際会計基準審議会(IASB)との交渉の
矢面に立たれているだけあって、同基準の問題点や
IASBへの不満をやんわりと表明するなど、聴き応えのある講演でした。
その中で私が印象に残ったのは、
企業結合会計における「のれんの非償却/償却」問題のくだりです。
このブログでも何度かご紹介している通り、
米・欧会計基準ではのれんは償却せず、減損処理だけで対応します。
彼らの理屈は、買収後の事業について継続企業として価値が維持される限り、
のれん代は償却すべきでない、という立場。
しかし、実務面では時価の計算方法などで「恣意性が働く」おそれはある。
本来はのれんの減損が必要なケースでも結果的に減損が認識されなかった場合、
「自家創設のれん」の計上をおこなったことになる
そんなこともあってか、
斎藤委員長は「のれんの非償却は非常に恥ずかしい会計処理」とボロクソの評価です。
かくして日本基準は、のれんを毎期償却かつ、必要に応じて減損処理も行う。
ですので、ここ数年において、欧米企業で発生した「のれん」は
減損処理で一気に取り崩されたケースを除き、
償却されないまま現在に至っているってことになります。
で、結果としてバランスシート上では、
資産サイドに計上されている「のれん」に対し、
その同額の「資本」が留保されている、ってことです。
(数年分の償却費が計上されていないことになるので)
でも減損処理で一気に取り崩し・・・・の場合には、
両建てで双方の残高が減少するってことになります。
要は、現在の欧米企業の資本は「のれん」の額だけ嵩上げされている、
という見方が成り立つわけです。
これが1920-30年代のアメリカでは「ウォータード・ストック」、
水増しされた資本と呼ばれていたそうです。
で当時、過大なのれんを抱える企業の株価が急落
(ついでに、そうでない株も売られたと)。
これら企業はのれんを償却しようとするも、原資となる利益が無い。
そこで、資産を再評価して、その剰余金でのれんを一気に償却してしまったと。
これを見たアメリカの会計士は激怒。
そこで1932年、AIA5原則というものを発表。
このうち2番目の原則が、
「資本と利益は明確に区分すること。
資本剰余金は将来収益で償却すべきものの償却原資としてはならない。」
翻って現代。
のれんをいざ減損!という場面で、
原資となる利益があるのか?といった問題が再度噴出する可能性は否定できない。
で、償却原資が無い場合、当時のアメリカのように、
また何か救済策をやってくるかもしれないと。
歴史は繰り返すのかも知れない。
斎藤委員長はそう結んでおられましたが、私も同感です。
感覚的ですが。
本日は会計士協会主催の研修に参加しました。
会場はご高齢の先生方が多くご参加され、さながら病院の待合室。(失礼!!)
そこはかとなく漂う加齢臭が、場の雰囲気を否が応でも盛り下げてくれます。
で、肝心の内容ですが、企業会計基準委員会の斎藤委員長による、
日本の会計基準を巡る当面の重要テーマなどに関するご講演でした。
国際会計基準との相互承認に向け国際会計基準審議会(IASB)との交渉の
矢面に立たれているだけあって、同基準の問題点や
IASBへの不満をやんわりと表明するなど、聴き応えのある講演でした。
その中で私が印象に残ったのは、
企業結合会計における「のれんの非償却/償却」問題のくだりです。
このブログでも何度かご紹介している通り、
米・欧会計基準ではのれんは償却せず、減損処理だけで対応します。
彼らの理屈は、買収後の事業について継続企業として価値が維持される限り、
のれん代は償却すべきでない、という立場。
しかし、実務面では時価の計算方法などで「恣意性が働く」おそれはある。
本来はのれんの減損が必要なケースでも結果的に減損が認識されなかった場合、
「自家創設のれん」の計上をおこなったことになる
そんなこともあってか、
斎藤委員長は「のれんの非償却は非常に恥ずかしい会計処理」とボロクソの評価です。
かくして日本基準は、のれんを毎期償却かつ、必要に応じて減損処理も行う。
ですので、ここ数年において、欧米企業で発生した「のれん」は
減損処理で一気に取り崩されたケースを除き、
償却されないまま現在に至っているってことになります。
で、結果としてバランスシート上では、
資産サイドに計上されている「のれん」に対し、
その同額の「資本」が留保されている、ってことです。
(数年分の償却費が計上されていないことになるので)
でも減損処理で一気に取り崩し・・・・の場合には、
両建てで双方の残高が減少するってことになります。
要は、現在の欧米企業の資本は「のれん」の額だけ嵩上げされている、
という見方が成り立つわけです。
これが1920-30年代のアメリカでは「ウォータード・ストック」、
水増しされた資本と呼ばれていたそうです。
で当時、過大なのれんを抱える企業の株価が急落
(ついでに、そうでない株も売られたと)。
これら企業はのれんを償却しようとするも、原資となる利益が無い。
そこで、資産を再評価して、その剰余金でのれんを一気に償却してしまったと。
これを見たアメリカの会計士は激怒。
そこで1932年、AIA5原則というものを発表。
このうち2番目の原則が、
「資本と利益は明確に区分すること。
資本剰余金は将来収益で償却すべきものの償却原資としてはならない。」
翻って現代。
のれんをいざ減損!という場面で、
原資となる利益があるのか?といった問題が再度噴出する可能性は否定できない。
で、償却原資が無い場合、当時のアメリカのように、
また何か救済策をやってくるかもしれないと。
歴史は繰り返すのかも知れない。
斎藤委員長はそう結んでおられましたが、私も同感です。
感覚的ですが。
日本で持分プーリング法が例外的に認められているのは、資本市場がいまだ未熟で、即ち、適切に暖簾の評価ができないからだと思っていました。
学生なのですが、よろしければ、その辺の事情を載せている文献やHPなどをご紹介頂けないでしょうか。一応、下記の「CFOのための最新情報」の記事は拝読したのですが・・・。