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「事業承継ガイドライン」に思う

2006-06-17 | 事業再生・M&A

週末なので手短に。

まずは、すかいらーくのMBOによる非上場化。
ビジネス誌での評価はイマイチのような印象を受けます。

たとえば、東洋経済の最新号では「あの」一橋大学大学院・服部暢達助教授が
一連のスキームを見て「これは経営者と投資ファンドが儲かる仕組み」と看破。
MBOが成立した段階で100億円単位の含み益を得られると。
そして、その含みは自らのものにしたまま「再上場するだろう」と。
同記事には詳細な計算過程などが載っていないため、
私もコメントしようもないのですが、ちょっと気になる指摘ですよね。

また日経ビジネス最新号では、現在すかいらーくの筆頭株主である
エス・エイチ・コーポレーションの存在に着目。
この会社は創業家・横川4兄弟が出資する会社なのですが、安定株主の役割以外
に、商社としてすかいらーく向け食材仕入などの業務を請け負っており、
「上場企業として利益相反に当るのではないか」と指摘。

まっ、物事にはタテマエと本音があるってことで・・・・・・・。


で、本題に移ります。MBOも関係する話です。

中小企業では経営者の高齢化が進行する一方、後継者の確保が困難になって
おりまして、円滑な事業承継が喫緊の課題となっているとのこと。
というのは、後継者が決まっている企業は全体の約4割。
特に親族内での後継者の確保が困難になっているとの事。
事業承継が失敗して相続紛争が生じたり、業績が悪化するケースも多く存在
しているようです。

こうした問題意識から、事業承継協議会が「事業承継ガイドライン」を作成、
去る6月14日に公表しました。

このガイドライン、70ページにわたり承継方法別の対策を網羅的に紹介する
だけでなく、事例も多く盛り込まれておりまして、金融機関の方にも相応に参考に
なるのではないかと思った次第です。

ご関心ある方は、下記HPよりダウンロード下さい。

・事業承継協議会のHP  http://jcbshp.com/

・ ガイドライン(要約版)http://jcbshp.com/achieve/guideline_brief_01.pdf
         (本編)http://jcbshp.com/achieve/guideline_01.pdf

  なお、6月23日には「事業承継シンポジウム」としてガイドラインに焦点を
  当てたパネルディスカッションを行う予定です(無料)。
  http://www.smrj.go.jp/keiei/jigyoshokei/013213.html


しかし、至れり尽くせりですね。このガイドライン。

そして、それをわざわざ紹介するこのブログも。
(・・・まっ、余りネタが無いっということで)

私もこのブログ、誰かに承継しよっかなー。


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1 コメント

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大事なネタじゃん (なべや)
2006-06-18 19:07:29
独)中小企業基盤整備機構というのは、改正中小企業

基本法のもとで実施される様々な中小企業支援施策の

中核となる組織です。

なぜ国の中小企業支援機関が事業継承問題に着眼

しているかというと、まず廃業数が下げ止まらない点。

具体的にいうと直近(2004年統計)、年間の廃業数は

平均約29万社もある。これは開業数の17万社弱を

大きく上回っていて、差し引きでは12万社以上の

純減となっているのです。

で、こういった廃業企業のうち1~4%程度が「適当な

後継者が見つからないため」財務的には問題ないにも

かかわらず廃業されていると推定されています。

これが経済に与えるインパクトは大きくて、たとえば

雇用者数で言うと毎年20~35万人程度がこの理由で

失職しているという推計が出ています。



中小企業における事業継承というのは従来、親族への

物的所有権相続というのが唯一の手段でした。

税法などが規定する相続のルールには、事業継承の

円滑化への配慮はあまりないので、高度成長期に

大量に創業した世代が所有する企業がいま、のきなみ

この継承問題に直面しているのです。



いままで小規模な企業には無縁と思われていた

MBOやM&Aをうまく活用して、親族への相続以外の

事業継承スキームを確立したいという狙いがあります。

マネーゲームではありませんので、真剣に国の将来の

ためだけを考えて取り組めるようご協力をお願い致し

ます。



経営的に問題ないのに後継者がいないために廃業

しなければならないかもしれない、そんな不安を感じて

いらっしゃる経営者の方々、是非一度ご相談下さい。
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