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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

イオンのエクイティファイナンスに思う

2006-10-18 | 会計・株式・財務

いつもご覧下さり誠に有難うございます。

まず、プレスリリースはこちら。続いて、簡単なコメントを。
http://www.aeon.info/news/newsrelease/200610/1018-1.pdf


 ① 会社側からすれば今回の増資は絶妙のタイミングではなかったでしょうか。
   思いつくだけでも、
   1) イオン単体で言えば、昨年は厳冬で潤った冬物商戦の反動減、
   2) グループ最大の収益の柱・イオンクレジットに関しては、
     例の上限金利問題の影響の顕在化、
  とややネガティブな材料が見込まれております。
  (無論、「そんな事は相場は織り込んでいる」とのご反論も予想されます。
   甘んじてお受けましょう)


② リリースを読む限り、ダイエー&マルエツ株式取得資金として最大300億円しか使わない、
  としか思えません。マスコミ観測の500~600億円っていう水準から見るとかなり低い。
  老婆心ながら、丸紅の怒りを買わないことを祈ります。


③ それにしても、どこまで膨張させるのでしょうか、バランスシート。
  H18/8末にはダイヤモンドシティの連結子会社化によりオペレーティングリースの残高も膨張。
  儲けも次の投資に充当。この会社に財務の規律は働くでしょうか?

  見落としがちですが無視できないのは、いわゆる有利子負債以外でも、いわゆる「回転差資金」
  やテナントからの預け金などが、イオンの資金繰りを支えていることだと思います。
  いずれも店舗増加+売上拡大のシナリオに従えば、当座のキャッシュに不安はありません。

  マイカル再建に際しても、回転差資金を十分確保して経営を安定化させたことは有名な話ですし。

  とにかく、常に店を出し続けていかないといけないのがこの会社の宿命なのでしょう。
  オマケにオリジンなど多額ののれんを伴うM&Aにも注力。   

  本日の株価も、結局のところ上がって終わりました。
  ファイナンスはある程度織り込まれていたのでしょう。
  でもそろそろ、イオンの財務を今後どう規律づけさせていくのか、
  市場参加者から当社に対してキッチリ問いかけをしてもらいたいものです。

  いかがでしょうか?温故知新さん。
  お手すきの時、何でも良いのでコメントお願いします。mOm


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3 コメント

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難しいね (温故知新)
2006-10-19 17:45:31
 またまたご指名をうけての登場です。

 バランスシートの膨張に関してはおっしゃるとおりですね。私にとっては、なによりもオリジン東秀のTOBで腰が抜けそうになりましたからね。「あのねえ、ファイナンスしてからってお金を無理して使わなくてもいいんだよ」って言いたくなりました。その意味では成金的な精神が抜けきっていませんね、この会社。

 加えて今回だって、将来どうなるかわからないダイエーの株を10%買わされること条件にマルエツ20%持てることになり、で、ファイナンス2000億円。なんだかなー、って感じですよ。市場のうわさ通りローソンでも買ってイオン銀行のATMを入れさせるのかなあ。

 イオンという会社は良い会社だと思いますよ。特にこれから中小、中堅のスーパーや専門店の創業者が高齢化して、おまけに後継者難になるなかで、会社の名前も創業家も従業員も大事にしてくれるイオンという会社にすがろうという会社は続々出てくるでしょう。これは明らかな7&Iとの力量の差ですね。だから、ファンダメンタルズ的に温故知新はイオンファンです。

 しかし、金に関しては非常にぬるい感じは否めないやね。だから、中島みゆきの歌のように「走り続けていなけりゃ倒れちまう、自転車みたいなこの命転がして」という財務になっちゃうんだろうなあ。いや、danching-ufoさんのおっしゃるとおりです。
返信する
有難うございました!! (dancing-ufo)
2006-10-20 00:06:51


温故知新さん、

お忙しいところ誠に有難うございました。

市場には”そういう”噂もあるんですか・・・・

毎度勉強になります。



次回(春)のラージMも、温故さんのキツーイの一発、

期待してます!!







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うーん (通行人A)
2006-10-20 17:44:49
横からすみません。気になる話題だったものですこしばかり。

①そうですね。会社としても抱き合わせの好材料を多発できる時期でもあるのかなと思います。郵政との協業のIRをことさら出してきたときに、ファイナンスの準備があることを警戒しました。会社が周知のことを改めてIRする状況は、直後にファイナンスが来る気がします。勝手な経験則です。

②IRには取得資金の一部としてと書かれていますので、レバレッジローン併用で総額ではないと思います。

店舗新設費用についても同様かと。以前既存店改修に多額投資するような記事もあった気がします。総額はIR以上でしょう。

③IRの前文で「拡大」を強調したあたり寒気がしました。

「回転差資金」の解説を読ませていただいて益々寒気が(笑)

預託金をあてにするより、店舗を開発し軌道に乗った段階で建物を証券化していく方が、望ましいのにと思います。

イオンもそれを進めるためにダイヤモンドシティを買ったものと思います、というか思いたいです。



しばらくは本体に投資妙味は無い様な気がしますね。

かえって周囲で拡大路線にノーリスクで乗っかっていける、金融屋さんやゲーム屋さんや先の不動産屋さんやビルメンテ屋さんの方が良い気がします。ノーリスクハイリターンです。(笑)



機会がございましたら、お考えをお聞かせいただけると幸いです。

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