まずは本日の朝日新聞の記事より。その後、コメント。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆阪急、阪神株の取得検討 村上ファンドと交渉か
2006年04月13日
村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)による阪神電気鉄道株
の買い占めを巡り、村上氏側が阪神株を放出する場合、阪急ホールディングス
(旧阪急電鉄)が受け皿として浮上していることが12日、明らかになった。
すでに阪急側は村上ファンドとは交渉に入っている模様だ。
売却価格など流動的な要素は多いが、阪急側は阪神との資本・業務提携を視野に
入れて検討を進めているとみられる。
関西私鉄大手の再編に発展する可能性が出てきた。
関係者によると、阪急側は、村上ファンドが保有する阪神株の全株
(発行済み株式の約45%)を引き取ることを軸に、検討に着手。
阪神とは本業の鉄道事業で大阪―神戸路線が競合するものの、不動産事業では、
阪神が大阪・西梅田などに持つ優良物件の含み益を活用すれば、
多額の有利子負債を抱える財務体質の改善にもつながると考えている模様だ。
阪急が買い取る手法は、あらかじめ買い取り価格を示す株式公開買い付け
(TOB)となる見込み。阪急のTOBに村上氏側が応じれば売買が成立する。
村上ファンドが阪神株を手放す場合は、12日終値で984円だった阪神の
現在の株価を上回る水準での買い取りを求める可能性が高い。村上ファンドの
保有分(約1億9000万株)を丸ごと買い取るために必要な資金総額は、
2000億円規模となる。
昨年9月に阪神の筆頭株主に躍り出た村上ファンドは、株買い占めに総額
1200億円以上を投じた。1株あたりの平均購入価格は700円弱と見られ、
時価の水準で全株を売却すれば、短期間に数百億円規模の利益を手にすることに
なる。
ただ、1株あたり1000円前後で推移している阪神の株価については、
「村上ファンドの買い占めによってつり上がっている」「現時点での収益力だけ
でなく、保有不動産の含み益なども織り込んでいる」(私鉄関係者)と指摘されて
おり、TOBの成立には買い取り価格が最大の課題となりそうだ。
阪急経営陣にとっては、自社の株主から「高値での買い取りは阪急に損失を
与える」と訴えられるおそれもある。
このため、「買い取った後に阪神の株価が下がらないよう、有効な提携戦略を
投資家に示せるかがカギ」(金融筋)になる。
村上ファンドの保有株をすべて引き取る場合は、有利子負債が9000億円を
超える阪急にとって資金調達も課題となる。
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(コメント)
①新聞が見出しの最後に使う「も・へ・か」。
これが付いている記事はまずは話半分で見たほうがいいと思います。
事実、その後2社とも内容を否定するコメント出していますし。
新聞の「もへか」観測記事はネタ枯れの時によく使われますので。
②とはいえ、誰かが村上ファンド保有株を引き受けなければ、いつまでたっても
この問題は終わらない。同業の阪急が取得するっていうシナリオ、可能性は
大いにあるでしょうね。
③では連結(持分法適用会社)した時のインパクトはどうなるのか?
いつものように独断と偏見で勝手に試算してみました。
阪神電鉄の05年12月末 連結株主資本 1,648億円
この45% 742億円・・・・①
村上ファンドからの株式購入代金 2,000億円・・・・②
問題は、のれん(投資差額)。
のれんは、単純な計算上、最大1,258億円(=②-①)。
取得時の資産時価を考慮して計算されることになります。
ご存知のように阪神には不動産に相応の含み益があるとされていますので
1,258億円よりはもっと少なくなると思われます。
連結損益上のインパクトはどうか?
まず阪神電鉄の今期の連結当期純利益(計画)60億円
その45% 27億円
が毎期、持分法投資損益として阪急の連結損益計算書に取り込まれます。
以上はプラス効果。
一方でコストも増えます。
まずのれんの償却。
仮にのれんが800億円に収まったとしますと(根拠は全くありません。
あてずっぽうです)、20年償却で年間▲40億円の償却費が発生します。
加えて、金融費用。2,000億円を全額借入れで調達。金利を年1.5%としますと
金融費用は2,000億円×1.5%=▲30億円。
業態柄、阪神電鉄の利益がぐんぐん成長していくとは考え難いので、
ほぼ横ばい、としますと、
阪急の連結収支に与える影響は、一定の前提を置いて計算しますと
持分法投資損益27億円-のれん償却40億円―金融費用30億円=▲43億円
これが毎年積み重なっていくとなると、うーん、確かにシンドイ。
これを上回るシナジーを出せるか?っていってもね・・・・。
ですので、のれん計上を減らすべく、阪神の保有資産の時価評価を甘めに
行って、のれんの計上額を抑える、そして阪神保有資産を一部売却して追加の
借入を極力押さえることになるのでしょうか。
もちろん、そもそもの取得費用2,000億円っていうのは、やっぱり割高なので、
これを下げるってことが手っ取り早いんですけどね。
④そこで、阪急の大株主であり、また信用取引で中小証券会社の株式を取得して
いる、謎の投資ファンド・プリヴェチューリッヒ企業再生に言いたい。
「阪神株、あなたの得意な信用取引で大ロットの空売りしてみませんか?」
株価を思いっきり下げれば、あなたの阪急が助かるのですから・・・・。
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◆阪急、阪神株の取得検討 村上ファンドと交渉か
2006年04月13日
村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)による阪神電気鉄道株
の買い占めを巡り、村上氏側が阪神株を放出する場合、阪急ホールディングス
(旧阪急電鉄)が受け皿として浮上していることが12日、明らかになった。
すでに阪急側は村上ファンドとは交渉に入っている模様だ。
売却価格など流動的な要素は多いが、阪急側は阪神との資本・業務提携を視野に
入れて検討を進めているとみられる。
関西私鉄大手の再編に発展する可能性が出てきた。
関係者によると、阪急側は、村上ファンドが保有する阪神株の全株
(発行済み株式の約45%)を引き取ることを軸に、検討に着手。
阪神とは本業の鉄道事業で大阪―神戸路線が競合するものの、不動産事業では、
阪神が大阪・西梅田などに持つ優良物件の含み益を活用すれば、
多額の有利子負債を抱える財務体質の改善にもつながると考えている模様だ。
阪急が買い取る手法は、あらかじめ買い取り価格を示す株式公開買い付け
(TOB)となる見込み。阪急のTOBに村上氏側が応じれば売買が成立する。
村上ファンドが阪神株を手放す場合は、12日終値で984円だった阪神の
現在の株価を上回る水準での買い取りを求める可能性が高い。村上ファンドの
保有分(約1億9000万株)を丸ごと買い取るために必要な資金総額は、
2000億円規模となる。
昨年9月に阪神の筆頭株主に躍り出た村上ファンドは、株買い占めに総額
1200億円以上を投じた。1株あたりの平均購入価格は700円弱と見られ、
時価の水準で全株を売却すれば、短期間に数百億円規模の利益を手にすることに
なる。
ただ、1株あたり1000円前後で推移している阪神の株価については、
「村上ファンドの買い占めによってつり上がっている」「現時点での収益力だけ
でなく、保有不動産の含み益なども織り込んでいる」(私鉄関係者)と指摘されて
おり、TOBの成立には買い取り価格が最大の課題となりそうだ。
阪急経営陣にとっては、自社の株主から「高値での買い取りは阪急に損失を
与える」と訴えられるおそれもある。
このため、「買い取った後に阪神の株価が下がらないよう、有効な提携戦略を
投資家に示せるかがカギ」(金融筋)になる。
村上ファンドの保有株をすべて引き取る場合は、有利子負債が9000億円を
超える阪急にとって資金調達も課題となる。
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(コメント)
①新聞が見出しの最後に使う「も・へ・か」。
これが付いている記事はまずは話半分で見たほうがいいと思います。
事実、その後2社とも内容を否定するコメント出していますし。
新聞の「もへか」観測記事はネタ枯れの時によく使われますので。
②とはいえ、誰かが村上ファンド保有株を引き受けなければ、いつまでたっても
この問題は終わらない。同業の阪急が取得するっていうシナリオ、可能性は
大いにあるでしょうね。
③では連結(持分法適用会社)した時のインパクトはどうなるのか?
いつものように独断と偏見で勝手に試算してみました。
阪神電鉄の05年12月末 連結株主資本 1,648億円
この45% 742億円・・・・①
村上ファンドからの株式購入代金 2,000億円・・・・②
問題は、のれん(投資差額)。
のれんは、単純な計算上、最大1,258億円(=②-①)。
取得時の資産時価を考慮して計算されることになります。
ご存知のように阪神には不動産に相応の含み益があるとされていますので
1,258億円よりはもっと少なくなると思われます。
連結損益上のインパクトはどうか?
まず阪神電鉄の今期の連結当期純利益(計画)60億円
その45% 27億円
が毎期、持分法投資損益として阪急の連結損益計算書に取り込まれます。
以上はプラス効果。
一方でコストも増えます。
まずのれんの償却。
仮にのれんが800億円に収まったとしますと(根拠は全くありません。
あてずっぽうです)、20年償却で年間▲40億円の償却費が発生します。
加えて、金融費用。2,000億円を全額借入れで調達。金利を年1.5%としますと
金融費用は2,000億円×1.5%=▲30億円。
業態柄、阪神電鉄の利益がぐんぐん成長していくとは考え難いので、
ほぼ横ばい、としますと、
阪急の連結収支に与える影響は、一定の前提を置いて計算しますと
持分法投資損益27億円-のれん償却40億円―金融費用30億円=▲43億円
これが毎年積み重なっていくとなると、うーん、確かにシンドイ。
これを上回るシナジーを出せるか?っていってもね・・・・。
ですので、のれん計上を減らすべく、阪神の保有資産の時価評価を甘めに
行って、のれんの計上額を抑える、そして阪神保有資産を一部売却して追加の
借入を極力押さえることになるのでしょうか。
もちろん、そもそもの取得費用2,000億円っていうのは、やっぱり割高なので、
これを下げるってことが手っ取り早いんですけどね。
④そこで、阪急の大株主であり、また信用取引で中小証券会社の株式を取得して
いる、謎の投資ファンド・プリヴェチューリッヒ企業再生に言いたい。
「阪神株、あなたの得意な信用取引で大ロットの空売りしてみませんか?」
株価を思いっきり下げれば、あなたの阪急が助かるのですから・・・・。
今日はじめてこのブログを訪れ、凄く楽しく拝見・勉強をさせて頂きました!
他のサイトではわからない事が初心者の自分でもわかりやすく解説されているので良いサイトを見つけた~と喜んでいます♪
今は雑誌を定期購読&実際に売買して色々経験していますが、どうしてもわからない事だらけなのでこれから勉強させて頂きます^^
ちなみに、自分は知識が全く無い時に一度投資で痛手を被ってから、昨年4月より1万円で投資をやり直し(?)しているところです。
やっと4万円まで増えましたが、また減少傾向です^^;
初めまして! 毎日拝見しています。
>謎の投資ファンド・プリヴェチューリッヒ企業再生に言いたい。
> 「阪神株、あなたの得意な信用取引で大ロットの空売りしてみませんか?」
↓
What a good idea ! 色んな意味で、実行してもらいたいものですね(笑)
これからも参考にさせて頂きます。
なか様、HIideo様
コメント有難うございます。
大半がスカスカな内容の記事ですが、
根気よくご覧頂ければ幸甚です。