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XBRLの衝撃 -アナリスト業務が変わる?-

2005-08-22 | 会計・株式・財務
週末、神保町の古本屋で買った「会計制度改革への挑戦」(原題:Following the money)をナナメ読みした。
いろいろ書いてあるのだが、私は「第4章 ディスクロージャーにおける今後の課題」に注目した。


米国における最近の動きとして、インターネットを通じて投資家が利用しやすい形式でデータを開示したり、集計する媒体として活用する試みとして「XBRL」の導入計画が進んでおり、それについての見通しが示されているのである。


ウェブ上で入手できる情報はHTML形式で作成されており、基本的に再編集できないが、XMLを使うと個々のデータ要素にタグが振られているため、利用者がデータを再編集したり加工することができる。
とりわけ、XMLならば、利用者は、財務分析の際にデータをウェブ上から表計算ソフトのファイルに取り込むことができる。
XMLを応用したXBRLプロジェクトは米国公認会計士協会(AICPA)によって計画され、世界中の170もの企業が参加しているらしい。


結論を急げば、将来の見通しとして、次のような警告を示している。
「XBRLプロジェクトが成功すると、バイサイドアナリストの報酬を削減できるだけでなく、独立系アナリスト業界への参入障壁を取り崩すことができる。XBRLによる最大の被害者はおそらく、セルサイド・アナリストもしくは投資銀行で働くアナリストだろう。」
「事実、XBRLによって彼らの仕事の全容が明らかになり、セルサイド・アナリストの専売特許であったデータ加工の大部分を、第三者や投資家自身が手軽に行われるようになってくる」と。


実は、日本でもXBRL導入に向けた動きが進んでいる。
金融庁は、2005年8月16日に「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム見直し方針」を公表。
この中で、EDINETにXBRL(eXtensible Business Reporting Language:財務情報を効率的に利用可能なコンピュータ言語)の採用について言及している。そして、XBRL化によって期待される効果として以下の記述がある。
「XBRL化によって、投資家、アナリスト等開示データの利用者は、従来EDINETの表示情報を手作業で自分の分析システムに入力していたが、EDINETから開示データを分析システムに直接取り込むことが可能となり、投資判断等の分析を効率的に行うことができるようになる。」

私もアナリストの端くれとして、財務データの収集・加工に手を焼いているので、XBRL化はウエルカムです。ただし、外部の第三者も容易に加工・分析できるようになるわけですから、定量分析以外で付加価値をつけていかないと自分自身、生き残っていけないないなと感じました。


<参考資料>
金融庁ホームページ
金融庁における業務・システム見直し方針について
http://www.fsa.go.jp/common/about/gj-suisin/f-20050816-1.html

中央青山監査法人のXBRL関連情報が充実しておりますので、こちらもご参照下さい。
http://www.chuoaoyama.or.jp/webcan/xbrl/index.html


会計制度改革への挑戦―フォローイング・ザ・マネー

税務経理協会

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