◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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『米買収ファンド「KKR」上陸の衝撃』 の衝撃

2005-10-24 | 事業再生・M&A
またまた「衝撃」シリーズ。

表題及びネタ元は週刊エコノミスト05年11月1日号に掲載されている
服部暢達・一橋大学大学院助教授の論文です。
服部氏も、私が今春受講した一橋大大学院
「事業再生講座」の講師をして下さり、
同時進行していたニッポン放送問題の本質を鋭く分析されていました。

著書の「M&Aマネジメント」はご興味のある方には
是非とも読まれることをお勧めします。
財務理論と法制度両面にわたる深い洞察力には頭が下がります。


さて表題の論文ですが、ポイントは以下にまとめました。

先に私の感想を申しますと、
・結局のところ、諸制度等の変化だけで日本はLBO市場として
 果たして魅力的になるのか、少しよくわからなかった、
・従って、KKR進出といっても、”LBOの嵐”となるかどうかは疑問。
・しかし、日本が国際的に[M&A無法地帯]となろうとしていること,
 および「2段階強圧買収」と解体屋の動き、は非常に重要。
といったところでしょうか。 

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◆論文のポイント(かなり端折っています)◆
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【結論】2006年春に米国最大の買収ファンドでLBOを専門とする「KKR」
    (コールバーグ・クラビズ・ロバーツ)が日本に上陸する。
    この進出により、日本での企業買収が激変する可能性がある。

【ポイント】
    ①MBOの本質
     MBOの実態はKKRなどの投資ファンドによる「錬金術」。
     ・MBOは通常、対象企業の資産を担保に巨額の資金を借入れ
      て買収に使うLBOの形態をとる。
      買収資金の大半は投資ファンドが出す。 
     ・MBOの後には、必ず投資ファンドによる投資回収の行為が続く。
      それは、対象企業の再上場か、
          M&A市場での一括売却か
      の2つに1つ。
    ・MBOは恒久的な非上場化でも、M&Aを避ける行為でもない。
     
   ②LBOに適する買収対象企業 
     ・低PERで買収価格が純利益に比べて安く済む
     ・キャッシュフローが潤沢で借入金を積み増しても、
      買収後に利益下ブレによる倒産リスクが低い、
     ・借入れ余力が大(⇒借入金が少ない等)

   ③日本におけるM&A環境の変化
     ・ライブドアによるニッポン放送買収劇
     ・新・会社法による「対価の柔軟化」
       →少数株主排除のため買収側の株式の代わりに現金を使用
        (=現金合併)
     ・現金合併が可能となることで、
      「2段階強圧買収」やそれに続く
      「企業解体による利ざや稼ぎ」がやりやすくなる。

   ④「2段階強圧買収」とその問題点
     ・まず、現金合併を株主総会で決議できるだけの株式
      (米国では51%、日本では67%)をTOBで買収
      次に、TOBより安い価格での現金合併で残る株主を排除。
           ↓
      不利な条件での現金合併を実行されるリスクが株主を動揺
      させ、TOBにこぞって応じさせることになり、
      結果として安い価格で対象会社を100%手に入れる。
           ↓
      単に解体・バラ売りして短期間に大きな利ザヤを稼ごうとする。
              
     ・しかし欧米では法規制の整備が進み、この手法は事実上不可能
           ↓
      ところが日本では、新会社法の登場により、さまざまな買収が
      可能になろうとしている!!
      しかも防衛策では、ポイズンピルが1回しか打てない欠陥商品!! 
           ↓
      KKR進出のウラで、欧米のグルーンメ-ラーや、
      最初から企業解体を狙う解体ファンドも
      虎視眈々と日本市場を狙っている!!  

     ・日本ではとにかく、敵対的買収を巡る真剣な議論が必要。
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実践 M&Aマネジメント

東洋経済新報社

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