ぼくの家は川の土手際だから、玄関を出て十メートルも歩くとこういう景色となる。 このオジサンがしているのは、アユ漁。捕獲の現場を見ない限り、今時、ここに、そんな魚がいるなんて誰が信じよう。この川は、多摩川の支流のひとつ。その河口から三十五キロほど上ったところである。 この川が多摩川に合する辺り一帯は、戦前、皇室のアユの漁場であった。特に明治大帝が好まれたという。