きみの靴の中の砂

さて、その一瞬、きみが呼吸したのは...





 朧気に記憶に残る風景の色であった。

 初夏の遅い昼下がり、日没も近い頃のこと...。
 日が落ちて行く迄の、その微かな印象、もしくは想い出の片鱗...。

 折も折、残光は水平線の上にあり、気付けば、鼻腔を満たしていたのは、海を渡ってきた南風。どこかで海鳥の声も聞こえていたかも知れない。

 その一瞬、きみが深呼吸したのは、ベルベットのような時間と静寂に伴われた蒼。

 その蒼は蒼であって、青でもなければ碧でもない。それは、きみの面影を飾る蒼 ------ そんな色のことをきみに話して聞かせたいと、その時から、ぼくは随分長い間待ち続けているのだったが...。




【School of Rock Students - California Dreamin'】


 

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