早朝の一番機を滑走路へと導く誘導路のランプが、朝靄に小さく乳白色のハレーションをつくる。
果たして飛行可能か否か。
いつもの事ながら、離陸時間までには晴れるはずとグランド・スタッフ。山と水辺が近い地形にある飛行場ではよくあることという。
*
昨日まで遊んでいたラグーンでは、今朝も変わらず、沖のリーフに小さく砕ける波の音が遠く近くに聞こえていることだろう。
*
十日ばかりの滞在で、すっかり日に焼け、一皮むけつつあるぼくの背中は、見ればどこか知らない世界地図のよう。
ムズムズする肩先を軽く掻くと、薄皮が粉雪のように辺りに舞う。
まるで夏に降る雪だと水口イチ子が笑う。
The Hollyridge Strings / Yesterday's Gone
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