トルーマン・カポーティ原作、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を /
Breakfast at Tiffany's(1961)』がDVDになって大分経つ今も地道に売れ続けているようだ。疑いもなく、若いオードリー・ヘプバーンの可愛らしさのお陰である。
脚本に関しては、原作の文学的なテイストを一掃し、娯楽作品一点張りに脚色したのが、かえって好結果につながったようだ。
初めて原作を読んだのは、高校生の時、ニューヨークの出版社・ランダムハウスのハード・カバーだった。
カポーティという作家の文体の特徴は、もちろん訳本では解らないが、一語一語適切な言葉を選び抜き、リズムと韻律が計算し尽くされている点である。
I'd been living in the house about a week when I noticed that the mailbox belonging to Apt. 2 had a name-slot fitted with a curious card. Printed, rather Cartier-formal, it read: Miss Holiday
Golightly; and, underneath, in the corner, Traveling. It nagged me
like a tune: Miss Holiday Golightly, Traveling.
《2号室の郵便受けの名札差しに不可解な名刺が差してあるのに気付いたのは、ボクがそのアパートで生活を始めて一週間ほどたった頃のことだった。カルチェ・フォーマルというべき書体で『ミス・ホリデイ・ゴライトリー』と印刷され、その下の端に『旅の途中』とあった。《ミス・ホリデイ・ゴライトリー、旅の途中》-----それはどこか旋律のようにボクの頭を離れなかった。(拙訳)》
リズムのきれいな文章を書く事は、私の永遠の憧れだ。
It nagged me like a tune: Miss Holiday Golightly, Traveling.
大好きなこの一行のリズムは、原作の主人公《ボク》同様、いまだ、それはどこか旋律のように頭を離れない。
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著作権が切れた映画のDVDは今では1,000円を切った価格で手に入れられる。少し気が早いが、お正月休みには、このハート・ウォームな映画をもう一度ゆっくり観る時間を作りたい。
なお、カポーティの原作の方は、いつも机の端に置いてある。
[[youtube:urQVzgEO_w8&hl=en]]
FINIS