二百十日の風
それは、 もうじき二百十日の風も吹こうという、 ある年の夏の終わりのことだ。 ...
静かな雨が降り続く頃まで
こうして残暑が往くと長かった夾竹桃の季節もようやく終わり、また来年の夏の初め、梅...
みんな自分が望んだこと
光の中の色。目をつぶれば聞こえて来るあの夏の喧噪。限りない場景。 『貝殻拾い ----...
福神漬
辻々に胡瓜の馬や茄子の牛 昔、川沿いの村々では、お盆がすむと胡瓜の馬や茄子の牛...
葉月 / 昼寝の夢
聞こえてくるのは夏の音ばかり。 【Rumer / Goodbye Girl】
今年最後の西瓜になるかもしれない
かなだらいに浮かべた笹の葉を突っつきながら、今年は夕立が少ないとイチ子が言う ----...
百日紅(さるすべり)が咲く頃
百日紅が紅色や白い色の花を咲かせる今日この頃ともなると、かつては田園であった東京郊外のこの辺りも豊作を祝う秋祭りの準備を迎える。 市内のおよそ六万五千世帯のうち、今、...
いずれの詩人だったか
海水浴客が都会への帰り支度を終える頃から、遠く稲村ヶ崎の向こうへ陽が落ちるまでの...
いったい誰に話しかけているのか?
八月、濡縁から見上げる高気圧。 きみは、秋の花柄の浴衣も涼しげに 「この赤いのが和金、こっちのお腹の白いのが羽衣...」 いったい誰に話しかけているのか? ...
なにやら、あたりが賑やかになってきたような気がするのだが
陋宅の目と鼻の先に都道が交差する大きな四つ辻があり、そこを起点として小山の尾根に...