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Hヘンテナの再設計 2m Hヘンテナ

2012年10月18日 02時03分37秒 | Hヘンテナ

パソコンのデータの一部が消えてしまい、Hヘンテナを再設計した。

そこで覚書を残しておく。

2mのアンテナの素材は、1m長の3mmのアルミ棒とした。その全長内に収まるように、まずは全長が最大のレフレクター長を1mととした。(MMANAの再現性は、かなり良いのでパイプ長は正しく入力した。)

次に、ラジエータの数値を決めたが、これが一番時間がかかった。

その後の設計手順。

  • 導波器の長さをラジエータよりも全長で4cm程度短くして必要本数分を間隔を広く取って配置。
  • まずは、ラジエータに近い導波器の最大利得の位置を求める。
  • さらに次の導波器の最大利得位置を出す。導波器についてはこれを繰り返す。
  • 最大利得を得られたところで、ラジエータ直後の導波器は、ラジエータより全長2cm短くする。
  • 他の導波器も前の導波器よりも全長2cm短くする。

エレメント長と間隔は下記の通り。

特性は解析の結果、下記のようになった。

利得:11.45dbi  5エレのゲインとしては十分

FB比:10.99db これは、例によって低め

高ゲインの割には、SWRは、思ったよりも帯域が広い。

こうやって、仮想のアンテナを設計して遊ぶだけでも楽しい。

材料も用意してあるので、これを実際に製作するぞ。


Hヘンテナの基本形紹介

2012年10月12日 22時19分49秒 | Hヘンテナ

実は、Hヘンテナについての質問をメールで頂いた。

Hヘンテナは、JR1FTE/JA7KPI両氏により実験、命名されたものと、ものの本に記載されている。

では、2ele Hヘンテナの基本形と製作方法を紹介しておこうと思う。このデータは、50.5MHz付近へ調整してあり帯域幅は2MHzと広めになるように設計してある。

図1の左側のエレメントが、リフレクターであり全長296cm。右側がラジエータで、278cmである。エレメント間隔は、75cmだ。

見かけは2eleYagiと同じである。しかし、図1の通り、リフレクターとラジエータから給電するのでヘンテナそのものだ。

この点がヘンテナたる所以である。

図1

この2ele ヘンテナの利得(free space)とパターンを図2に示す。

普通の2eleよりも少しゲインがある程度だ。また、バックのパターンに偏りがあって不思議だ。

図2

2eleのHヘンテナの部品は写真1の通り、Uバラン、桧ブーム、レフレクター用アルミパイプ 3本、ラジエター用アルミパイプ 3本から構成されている。

各構成部品の作り方

  • Uバラン(写真2)

         ・平衡-不平衡の変換と50Ω-200Ωのインピーダンス変換を同時に行う。Hヘンテナは、200Ω程度のインピーダンスとなるのでUバランは、実に都合が良い。

         ・1/2波長、任意長の2本の同軸を使って製作する。初めに6mの半波長の長さ3mに同軸をカットしてさらに短縮率まで切り詰めた。しかし、短縮率は、0.67よりも小さかった。(0.65)

    ・2本の同軸の構成方法・半田付けは、ここが詳しい。参考にして欲しい。

        ・Uバランは、写真3のように使用する。

  • 桧のブーム

         ・1mの桧材を買ってブームにすると軽量なアンテナになる。DIY店では1本100円以下で購入可能だ。

    ・エレメントクランプは、目玉クリップが丁度良くエポキシ接着剤で取り付けた。ピンクのクリップは、輪ゴムで止めてある。輪ゴムだけで十分に実用強度を保てた。

  • リフレクター、ラジエータ

エレメントのアルミパイプは、光モールの0.5mm厚のものを利用した。昨年までは、自社サイトで販売していたが、今は行ってない。そこで、Monotaroで購入した。7,8mmサイズnならばパイプがストレスなく丁度差し込めて良い。

中心のパイプに8mmを使い、外側エレメントに7mmを使う。

設計は、7mmで行っているので、パイプサイズが変わると特性に影響する。

以上が、Hヘンテナの製作方法になる。

私は、欲張りなせいか、縦長のヘンテナには全く興味がなかった。移動運用でもある程度利得を必要と考えていたからだ。なので、これまでメリットを感じたことがなく、ヘンテナを使用したことはなかった。

しかしHヘンテナを知ったことで、初めて多エレメントヘンテナを使うことになり、省スペース・高利得のメリットを享受出来た。

写真1

写真2

写真3


6m用4エレ Hヘンテナ手直し

2012年09月14日 03時59分18秒 | Hヘンテナ

2回ほどフィールドでテストして、性能自体は満足出来たHヘンテナ。

フロントの切れ、バックの抜け(コンテスト用なのでFB比は、追求してない。むしろ、聞こえた方が良いくらい?)も想定通りだった。

しかし、まだまだ実験中でもあり最終形ではなく、中心周波数及び組み立て性に課題があった。

【中心周波数】

設計周波数を1MHz下げて50.5MHzとした。更に、広帯域性に数値を揃え利得が若干下がった。

とはいえ、D1(第一導波器)を2センチの延長で0.1db利得が増加し、帯域が半分くらいになる。本当にクリチカルな調整が必要だ。

これが、Hヘンテナの特性?こりゃ、再現性に問題があるかな?

設計利得 10.09dbi(50.5MHz)となっている。

【組み立て性】

課題

  1. クランプに小型のクリップを使っていたが、固定力が弱くてエレメントが斜めになる。
  2. ブームの接続部は、ガムテープとタイラップではよれる。

1.については、大型クリップへ交換して接着しやすいプラスチックのクリップとした。また、錆びにくいようにクリップのバネは、ステンレスだ。

川崎ラゾーナのUNIDYで手に入れた。

更に、エレメントにはスベり留め用のテープを貼った。

2.については、接続部にドリルで穴を開けて3mmのビスを入れて、蝶ナットで固定するように改造した。

これで、組み立て性の課題は、ほぼ解消出来た。

手直し後のアンテナ。

大型クリップ、ブーム接合部のナット、Uバラン等だ。これで、安心して強風下で設営出来る。

あとは、フィールドで総合テストを行い、修正結果を確認する。

連休は、また、木曽駒ヶ岳(木曽郡)へ行く予定です。QRPでHヘンテナを実践投入します。

聞こえていましたらよろしくお願いします。ただし、天候によっては運用できない事も十分考えられます。

よろしくお願いします。


2m 5eleHヘンテナの設計

2012年09月03日 23時56分15秒 | Hヘンテナ

6mの4eleの成功に気をよくして、次は2m5eleを設計した。

正しくアルミパイプの径を入れると、設計結果に近い動作が得られることも分かった。

5eleで、帯域内のインピーダンス変化が少なく、高利得のYagiが出来た。

利得:11.29dbiと5ele八木としては、かなりなものだ。

もちろん、山岳移動専用として持ち歩く。

外観は、こんな形状になる予定。作り慣れてくると結構楽しく設計できる。

そんなアンテナで交信出来て、遠くまで電波が飛ぶと格別だ。

9月の連休には、山岳移動して6mのHヘンテナと共に実践投入を予定している。


6m用4エレ Hヘンテナ完成

2012年08月27日 21時37分21秒 | Hヘンテナ

先日設計した6m用のHヘンテナを作るために、会社の帰りにDIY店に寄って、ブーム用の木材を手に入れた。

下記の写真がアンテナの製作セットだ。

ブームが木材。アルミパイプは、径は8mmと7mmで厚さ0.5mm。

ブームへのエレメント固定は、100円ショップで買ったクリップ。

材料を拡大すると、これ。

出来上がったブームにエレメントを取り付けてみた。クリップは、エポキシ接着剤で固定している。

適度に遊びがあるので、ブームとの直角を調整してゴムでエレメントを固定することも可能だ。

真ん中の1m長のアルミパイプ両サイドに設計長にカットしたパイプを差し込み、所定の長さを得る仕組みだ。

設計通りに、全長3.3mとした。これは、F9FTよりもショートブームで高利得だ。

今週末にも山の上から飛びを試してみたい。

6m用4エレ Hヘンテナ:

  利得 Free 10.18dbi (8.03dbd)     リアルGND 14.81dbi(4m,15.4°)  

                                                        リアルGND 15.68dbi(10m,8.4°)  


Hヘンテナを設計

2012年08月26日 06時40分28秒 | Hヘンテナ

フィールドデーで5ele八木を山頂で使用した。しかし、山岳移動でブーム長4.5mはいかにも長すぎた。

樹林帯の中にある山頂では、設置場所に困るし、そもそも、それを設置できる山が限られる。

その為に、作ったOWA 3eleだけど非力なアンテナでは本末転倒だと考えるようになった。

そこで、新たなアンテナ構想を考えた。

つまり、

  • ショートブーム
  • 高利得アンテナ
  • マッチングが簡単

こんなアンテナがあれば誰でもそれを使っている。それに挑戦するプロジェクトだ。

世に知られているのはF9FTだ。これを越えるアンテナを設計する。

今回構想の主役は、「Hヘンテナ」だ。動作原理等はFCZ研究所のHPが詳しい。

2ele八木のラジエータとリフレクターを接続して給電しているような形状だ。マッチングは、ヘンテナ特有の給電部のスライドで行う。

下記がMMANAで設計途中の「Hヘンテナ」。イメージは、分かって貰えたかな?

試作では全長3.3mであり、F9FTよりショートブーム、その上、4eleとエレメントも一本少ない。

これで、SIM通りの性能ならば期待できる。

性能の比較をMMANA上で行ってみた。

赤がF9FT、黒はHヘンテナだ。Gaは、リアルGNDの7mで計算だ。

4eleHヘンテナとF9FTとを比較すると、今回の設計は

Ga(ゲイン)  0.59上回る

ショートブームハイゲインが実現できそう。

F/B比      10db劣る

F/Bは、むしろ大きくないように設計した。

Elev.      同じ(ちなみに同じ高さならば、ループ系アンテナも変わらない

ちなみに帯域幅は、SWR2以下が1MHz程度となった。移動運用ならば、目的に応じて設定変更できるので問題ない。

あとは、ものを製作して確かめてみる予定。

すでに、アルミパイプも入手してあるので、作るのは、そんなに時間はかからない。

2m用のHヘンテナの設計も始めたが、こちらもかなり良い結果が得られそうだ。

実物を作って性能が確認できたら、また、データをここに上げておくつもりだ。

覚書:

  • ディレクターは、エレメント長の変化にシビア
  • 4エレで11dbiくらいまで利得が上げられたが、帯域が異常に狭くなる。
  • 高利得設計だとZの暴れも大きくなる。
  • 上手く設計すると設計周波数以下で非常に広帯域となる。