V0.5の改造実験も進んで残るはファイナル部だけとなってきた。結果は良くなるのやら?
『BFA18Aへ交換』
ファイナル部のドライバーTRを高域の延びるBFQ18Aへ交換した。
『FET回りの改造』
様々な改造例を調べて一番効果があり改造が簡単な方法を検討した。その結果ファイナル部は下記の改造を行うことにした。
RD16HHF1のドレイン以降の回路は原型を留めてないがコア材も1個で済むし工作も簡単、パワーも素直に増加する。
主な変更点は、
①T6を取り外しコンデンサを追加
②RFC8をFT50-43材の14Tに変更する
③出力トランスT7を回路図のように変更する(1Tx2/1Tx2:4T)
④1次側中点にパスコンを取り付けVCCを供給する
⑤フィードバック回路を追加する
回路的には大きく変わるが元の基板パターンがそのまま利用できる。回路修正後の基板は下記の写真だ。
変更部品はSMDを使用したかったが耐圧100V以上は国内で即入手が出来なかったのでリード部品で代用している。
『コイルの修復』
このように試作・実験・手直しを何度も行い裏表をひっくり返したせいでLPFのコイルが断線していた。
それを知らずに出力が出ないとPA設定を上げてFETを壊したのもあるだろう。(10dBアンプを入れてあったので)
断線していたコイルを太目の0.6mmエナメル線で巻きなおした。0.6mmにすると基板をひっくり返してもコイルが動くことはなかった。
(全部0.6mmで巻きなおすか?)
3.5MHzのコイルは足の長さに余裕があったので再度半田付けした。
[黄色囲みのコイルが断線していた。LPFは手直しが必要なのでボンドでの固着はしてなかった]
『FET回り修復』
MOS-FETを合計5回抜き差しした。その結果FETのランドは全て剥離してしまった。6本の足のうち4本が通電しなくなったのでジャンパーを飛ばして修復した。
FETのソースの内層パターンだけは生きているみたいだ。
[FETの足回りはひどい状態!]
『SerialEEPROMについて』
最近、ある方から24LC1026でないと動作しないのでは?との指摘を頂いた。一応自分のEEPROMの型番を確認すると24LC1025。
ソースコードを確認してみるとEEPROMの容量をチェックして動作を決めている。いずれにせよ私の推奨する安定動作版のV1.1.4及びV2.024LC1025では問題なく動作する。
V1.1.4以降はSerialEEPROMの有無で電源OFFの時間がかなり短縮される。
(コメントでアドレッシングの確認要望あり追記:
ファーム1.1.4以上で確実に対応しているのは、24XX1025,24XX1026,24CM01,24CM02です。
またファーム内で各デバイスに合わせたアドレッシングを行っています。
更にデバイスに合わせて
1025は0xA0,0xA2
1026は0xA0,0xA2,0xA4,0xA6
のコントロールbitを書き込んでいる。
[元々V0.5基板は24LC01Bでパターン設計されているのでジャンパーで24LC1025に対応させた]
ここまで完成させて送信部の波形とレベルを確認すると綺麗に動作していた。
『RF AMPを外す』
いよいよPA設定とIQlevel設定を行う。ここで10-20dBの送信用RF AMPを残すか外すかを考えた。
ここまでの改造の効果確認とFETが壊さないことを優先し一旦RF AMP回路を外して確認することにした。
『IQ調整等』
PAの出力調整を実施したあと7MHzの5W出力で波形を確認した。
まずはIQレベル設定を未調整でスペアナで確認。キャリアリーク及び下側サイドバンドのレベルが高い。
そこでIQLevel,Phase調整を行うとキャリアリーク及び下側サイドバンドに2-5dB余裕が出てきた。
ここで再度Mixerのバイアス電圧調整VRで確認を行う。現在の設定(抵抗比1:2)が一番キャリアリーク等が小さかった。
改造以前にも調整してあった結果だな。
他にも3.5MHzを確認すると7MHzよりも綺麗な波形だ。
『出力確認』
3.5-10MHzは楽に10W出た。
14-21MHzが最大5W程度。24MHz以上は2W程度となった。
LM386を削除して代替AMPも無しの状態でmcHFキットの組立て時の出力が確保できたのは改造が成功だ。
これにAMPを追加すればハイバンドで10Wも夢ではないかも。
『まとめ』
mcHFV0.5ではパワーを上げると波形が歪むという問題がありその原因となるLM386を削除したが
- 各デバイスの性能向上
- ファイナル回路の手直し
で元の出力が確保できることがわかった。
いずれにせよD3D4及びLM386(V0.6では対応済み)の削除は必須となる。
V0.6でもファイナル部の回路を上記方法で変更すれば10dB AMPを実装済みでありハイバンドでも5W以上が可能かも。
改造実験での失ったもの
RD16HHF1 7個(入力電力過大による破壊も含む)
RD16HHF1の両面ランド 6個
LCD バックライト
DXT2150のランド 2個
・・・等等ジャンパー数知れずとなった。新たなLCDが手元に来るまでは検証を一旦保留とします。
最後に本実験に当たりこの1ヶ月間技術面で多大な協力を頂いたJA0LKA局、ありがとうございました。
また測定器類の使用を快諾頂いた7N4AJE局にも感謝致します。