次の日、僕はおばあちゃんの家に向かっていた。まさかあんなラッキーなことが起こるなんて・・・・。
・・・前日
「ただいま。」
第10回と同じ書き出しで帰宅した僕は、さっそく明後日の予定を報告した。
「明後日は1時に丸久集合やけぇ。」
「うん。なにがいるんかね。」
「お茶と図鑑と双眼鏡。」
なるべくサラッっと言うよう心がけた。双眼鏡ね。OK~~。とか言ってくれ~~!!しかし、そんなに都合のいいばかりが事が起こるはずもない。
「お茶と、図鑑と・・・最後なんて言った??」
「えっと~~・・・。」
なるべくサラッっとだぁぁ!!
「そーがんきょー♪」
「ある訳ないじゃろ。」
・・・やっぱりかぁ!!!僕は諦めてトボトボと部屋に戻った。図鑑でも見よう。その図鑑にも、もちろん双眼鏡のことが書いてある。慎吾の言う通り。
『絶対に必要という訳ではないが、あると便利。倍率は8~10倍のものがよい。』
なるほど。倍率が大きすぎてもだめなのか。あまり大きすぎると、ぶれる上、暗くなってしまうらしい。学校でオオカナダモの観察に使用中の、顕微鏡と同じだなと僕は思った。その時
プルルルルル・・・プルルルルル。
電話だ。受話器は僕の目の前。もちろん受話器を取る。
「もしもし。」
『あらぁ。あっくん??おばあちゃんじゃけど。』
「あっ、久しぶり。」
電話の主は母さんの、母さん。つまり母方のおばあちゃんだ。このおばあちゃんの家は、例の図書館の町のもう一つとなりの町で、小さな呉服屋さんを経営。呉服の需要が下がった現在では、小学校の制服を売ったり、服の補修をしたりしている。縫い物の腕はピカイチだ。
「で、えっと・・・。お母さんに代わろうか?」
『いや。あっくんでええんじゃけどね。今日、ヒロタカの荷物を整理しよったら、いろいろ出てきて、なんかいるものないかね?っていう電話なんじゃけどねぇ。』
「ふ~~ん。」
ヒロタカというのは、母さんの弟で、高校教師。職場が県内とはいえ遠くなので、盆・正月しか帰ってこない。たとえ帰ってきても無口。具体的には、おだちゃんが高校教師をしているようなもので、教えている姿が想像できないほどだ。
そうだ!!!もしかしたら!!!一筋の希望の光が見えてきた。でもまさかな。
「おばあちゃん。そのなかに双眼鏡とかない??」
『あぁ、あったよ。』
マジで!?!?!?
「ほんと??倍率とか分かるかねぇ。」
『ちょっとまってね。・・・ええとねぇ8倍って書いてあるねぇ。いるんかね?』
8倍!?ピッタリじゃないか!この世に神様はいるに違いない。
「明日とりにいってもええかねぇ??」
『どうぞ、どうぞ。』
そんなこんなで、このあと日が沈み、また上ってきた後で、僕はこうして車にゆられている。
念願の双眼鏡はもう僕の目の前だ!!
・・・前日
「ただいま。」
第10回と同じ書き出しで帰宅した僕は、さっそく明後日の予定を報告した。
「明後日は1時に丸久集合やけぇ。」
「うん。なにがいるんかね。」
「お茶と図鑑と双眼鏡。」
なるべくサラッっと言うよう心がけた。双眼鏡ね。OK~~。とか言ってくれ~~!!しかし、そんなに都合のいいばかりが事が起こるはずもない。
「お茶と、図鑑と・・・最後なんて言った??」
「えっと~~・・・。」
なるべくサラッっとだぁぁ!!
「そーがんきょー♪」
「ある訳ないじゃろ。」
・・・やっぱりかぁ!!!僕は諦めてトボトボと部屋に戻った。図鑑でも見よう。その図鑑にも、もちろん双眼鏡のことが書いてある。慎吾の言う通り。
『絶対に必要という訳ではないが、あると便利。倍率は8~10倍のものがよい。』
なるほど。倍率が大きすぎてもだめなのか。あまり大きすぎると、ぶれる上、暗くなってしまうらしい。学校でオオカナダモの観察に使用中の、顕微鏡と同じだなと僕は思った。その時
プルルルルル・・・プルルルルル。
電話だ。受話器は僕の目の前。もちろん受話器を取る。
「もしもし。」
『あらぁ。あっくん??おばあちゃんじゃけど。』
「あっ、久しぶり。」
電話の主は母さんの、母さん。つまり母方のおばあちゃんだ。このおばあちゃんの家は、例の図書館の町のもう一つとなりの町で、小さな呉服屋さんを経営。呉服の需要が下がった現在では、小学校の制服を売ったり、服の補修をしたりしている。縫い物の腕はピカイチだ。
「で、えっと・・・。お母さんに代わろうか?」
『いや。あっくんでええんじゃけどね。今日、ヒロタカの荷物を整理しよったら、いろいろ出てきて、なんかいるものないかね?っていう電話なんじゃけどねぇ。』
「ふ~~ん。」
ヒロタカというのは、母さんの弟で、高校教師。職場が県内とはいえ遠くなので、盆・正月しか帰ってこない。たとえ帰ってきても無口。具体的には、おだちゃんが高校教師をしているようなもので、教えている姿が想像できないほどだ。
そうだ!!!もしかしたら!!!一筋の希望の光が見えてきた。でもまさかな。
「おばあちゃん。そのなかに双眼鏡とかない??」
『あぁ、あったよ。』
マジで!?!?!?
「ほんと??倍率とか分かるかねぇ。」
『ちょっとまってね。・・・ええとねぇ8倍って書いてあるねぇ。いるんかね?』
8倍!?ピッタリじゃないか!この世に神様はいるに違いない。
「明日とりにいってもええかねぇ??」
『どうぞ、どうぞ。』
そんなこんなで、このあと日が沈み、また上ってきた後で、僕はこうして車にゆられている。
念願の双眼鏡はもう僕の目の前だ!!