徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

寿の月、時計塔と架け橋の街にて 4

2020-03-04 17:53:18 | 小説


 週明けから期間限定の事務の仕事が決まりましたー! とりあえず猶予ができた!!!








 本文詳細↓



 いい気分のところに水をさされてアダムが鼻白むと、コスモス色の女の子はいっそう目を細めて睨んできた。
 「『祭に罪はない』? 人間でないものがよくそんなことを言えたものだ。お前たちにとってこれほど滑稽なこともないだろうに」
 不審と驚きが混じりあったような、微妙な色を滲ませてアダムの目は丸くなった。
 「人類の意思を統一し、他種族との仲を取り持ち、永久不動の平和の礎を築いた英雄王イルミナリス。その平和を維持し続けた蒼き王の系譜に万歳。私たちが唯一無二のこの世界で平穏無事に日々を過ごせるのも全て、王家の方々のおかげです。……か? ふざけるな」
 静かな言い方だったけど、言葉の端々に抑えても抑えきれない深い怒りが滲んでいた。だけど僕にはそれのどこに怒りを持つだけの不満があるのか分からなかった。
 分からないと言えば、アダムが静かなのも不思議だった。傍若無人が形を持ったような奴なのに、今は女の子のことを探るようにじっと見ていた。
 「この国の支配者は全て皆、情けない卑怯者だ。どうしてそんな連中を許しておける」
 「……王族の人たちが嫌いってこと? だとしたら、なんで君はこの祭の時期に王都へ?」
 「決まってる。世界と歴史から名を捨てられた我が一族の復讐をし、この大地へ真実を明らかにするためだ」
 意図を捉え損ねて首をかしげると、女の子は少し狼狽えたように顔を背けるときびすを返した。




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