徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

至の月、階段と迷路の街にて 18

2019-11-27 20:18:45 | 小説







 本文詳細↓



 「もちろん」
 僕の足の上でアダムが飛び跳ねていて地味に痛いけど、この決意を撤回するつもりはなかった。
 「……分かりました。では、私もご一緒します。私は、司祭様からこの『銃』を与えられ、手ほどきも受けています。これは司祭様の悪魔の知恵で創られたもので、私でも魔法が使えるようになっています。あなたがお持ちでない、悪魔に対抗できる武器です」
 僕が変わった形の棒だと思っていたものが、『銃』という武器らしい。使い方は想像つかないけど。
 「ずっと思っていました。この人は本当は、どんな世界の方なんだろうと。だから私もエクリプスの夜に参加して、知りたいと思います」
 「……ありがとう、心強いよ」
 僕はそう返した。緊張で固く強張った顔では、残念ながらうまく微笑めなかったけど。
 身支度を整えたところで、ふと僕は思い出した。悪魔がこの世界にやってくるならどこにいても危険だろうに、なぜ僕は今まで知らなかったのか。
 「ふん。悪魔どもは開いた世界の扉からこの谷底の聖地へのみ帰ってくるからよ。かつて連中がこの大地を闊歩していた時に身を癒したとされる泉だ」
 なるほど、けどどうやって底まで辿り着くのか? という僕の疑問はすぐに解消された。
 アダムが言って譲らなかったから、耳栓をして口に布を詰めた僕らが重い扉を開けた先に。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 至の月、階段と迷路の街にて... | トップ | 至の月、階段と迷路の街にて... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事