徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

結の月、湖城と天見の町にて 10

2020-04-19 15:21:17 | 小説





 本文詳細↓



 一日目。望遠鏡を覗けばまだ、鳴御雷(なるみかづち)の灯台が見えていた。


 七日目。海に出てから初めて雨に降られた。釣った魚を日干ししてたのに、おかげで失敗した。


 十二日目。甲高い声で鳴くつるりとした皮の魚の群れを見た。絵付きで海図に描いてあった通りだった。


 十六日目。もはや陸地は霞むことすらなく、ひたすら青、蒼、碧、青、蒼、青、蒼、碧、青、蒼を見ていた。


 二十三日目。とても強い風が吹いた。上へ下へと揺れる波のおかげで目が回って、気分も悪くなった。


 三十日目。
 「アダムがいてくれることの喜びをかみしめてる」
 「いきなり何を言いだすか」
 「景色が変わらなさすぎて、進んでるのか止まってるのかも分からないなんて、ひとりだったら発狂してたかも。僕と一緒に来てくれてありがとう」
 「ふん、今更気がついたか。もっとありがたく褒め讃え奉るとよいわ」



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