・薬草medicinal plants やくそう
薬草ないし薬用植物と呼ぶものの多くは、植物の草、木などの全草ないし花・葉・樹皮・根皮などの有効成分を含む一部を利用するもので生薬などとも称しています。植物に、動物、鉱物を含めていう場合には生薬といわれています。
医薬品、漢方薬として指定を受けた薬用植物ばかりでなく医薬品として用いていなくても民間療法として用いられている植物も、薬草としていることがあります。
植物は多種多様な有機化合物を生合成し特に、アルカロイド・ポリフェノール・テルペン類は生理活性物質が多いようです。
近年では、そのままの状態で、さらに加工、エキスに、さらに有効成分のみを抽出しています。中国の中薬、そして日本に伝わって漢方薬に、ヨーロッパのハーブ・スパイス、インド伝統の薬用植物に分類することもあります。
主に、漢薬、和薬(桜皮・どくだみ・センブリなど)、西洋薬、民間薬などに分類しています。平安時代の808年(大同3年)に、日本伝承の植物、動物、鉱物など民間薬を集成した「大同類聚方だいどうるいじゅほう」100巻が知られます。江戸時代以前から、次第に小石川御薬園のように薬草の栽培、加工、研究の取り組みがありました。
民間薬には、各地域において科学的な根拠がないまま、伝承的、経験的に古くから利用していた、時には迷信的なものまで含むこともあります。
古代エジプトで紀元前1552年頃のエーベルスパピルスEbers Papyrusに、薬の名が記録が数多く残っています。にんにく、センナ、アロエ、アヘン、安息香、オリーブ油、アラビアゴム、ケイヒ、サフラン、ザクロ、乳香等々等々などがあります。
中国では漢時代(推定紀元25~220年)に『神農本草経しんのうほんぞうきょう』が書かれ、中国では中薬といい、日本に渡り漢方薬としています。
ヨーロッパ、西洋では病気の治療に呪術 (じゅじゅつ) とともに香草、薬草を用いた錬金術(れんきん‐じゅつ)の値打ちのないものを貴重なものに作り変えるという術が流行すると科学が発達し、香草、薬草から有効成分を抽出、より薬効の優れた薬剤が得られる技術への発展へとつながっていったのです。
中世のヨーロッパは修道院で、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンHildegard von Bingen(1098-1179)の修道女によって、修道院治療学の研究をも行って薬草から成分を精製したり、薬草・薬用植物を酒に溶かし込むリキュールを製造していたようです。
現代の西洋医学では、薬草の有用成分を化学合成して製造している薬剤が殆どを占めています。
高齢社会で生活習慣病といわれる、動脈硬化症からの慢性疾患の多発で特定の病気を治すと考えの西洋医学とは別の視点からの治療方法、アプローチが必要になるではとの指摘の高まりが叫ばれるようになりました。そこで漢方薬が見直されているようです。
一般家庭において、薬草または薬用植物を利用する場合、医薬品として過度な期待をせず、初期の軽い症状、予防に役立つとして考えていた方がよいでしょう。
薬草は量を間違うと毒草にもなりえます。香草・ハーブともいわれ、嗜好品としてもホルモンバランスを整え精神衛生上重要な働きをしています。
香草・ハーブは一般的に料理の香り付けや保存料、防虫などにも利用しています。その成分には抗酸化、免疫力強化などの作用があります。
薬という文字は、「草を持って病を治し、身体を楽にする」という意味からといわれています。ハーブは一般に草を意味するといいます。人間は長い歴史の中で、日々の生活の体験、経験か各々の病(やまい)に対する薬効のある植物を知り、様々な疾病に利用してきました。その積み重ねが現代に知識として貯えられ言い伝えられ書き残しています。
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