・栄螺・拳螺Top shell/Turban shell さざえ
リュウテンサザエ科の円錐形巻貝、本州以南の外界に面した水深2m~10mの沿岸海域に海藻類を餌とし生息する。殻に突起のあるものとないものがあり波の荒いところで育つものには突起があるものが多いというが定かではない。
足は筋肉質でよく発達しており、全体が縦の溝で左右2つに分かれ、これを左右交互に動かしながら60cm/1時間の速度で前進する。雌雄異体で3~4年で成熟し生殖腺の色が異なり、雌が深緑色、雄が淡黄色となるが、生殖腺は殻の中で通常では観察できない。
名前の由来として和訓栞(わくんのしおり:江戸後期の辞書)には、小さな柄のようなものを多くつけた貝の意とあり古名を細枝家(さざえ)という。栄螺は、巻貝を意味する螺(にな)と、表面の角が、いかにも栄えているように見えることから栄の字を組み合わせたとしている。貝殻は、ボタンの材料になる。
産卵が6~10月で海藻類に卵が生みつける。日中は、潜水、船の上から眼鏡で覗いて採取するが、夜行性で底引き網でも捕獲している。大きいものは、直径8cm(孵化後3年)ほどで3月~5月に採取されたものが美味しく旬とする。肉質は硬くこりこりし食感がよく壷焼き、塩茹で、和え物、刺身、煮込み、缶詰め、燻製とする。
100g中でエネルギー89Cal、タンパク質19.4g、脂肪0.4g、炭水化物0.8g、亜鉛2.2mg、鉄分0.8mgを含む。
壷焼にした身は軟らかくコラーゲンが加熱により変化したためで、一方、内臓に近い部分の身は生で軟らかだが、加熱で少し硬くなるがミオゲンMyogenやミオシンMyosinというタンパク質のため、コラーゲンとは逆の食感の変化をしている。旨味がアワビと似るが、アワビほどではなく核酸、グリコーゲン、タウリンなどの旨みとなる含有量が少ないためとしている。筋肉部分にタウリン1.5g/100g中を含みコレステロール低下、解毒作用がある。
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