まだ聴こえるの

病室での点滴のアラームの音が

耳の奥でずーっと鳴っているの

息を引き取る時の早いアラームの音

点滴がつまった音よりも早いアラームの音

普段なら「鳴ってるのはここかな～？」なんて茶目っ気たっぷりに入ってくる看護師さんも来なかった


父はもう管から解放されてるのにね


…眠れない…

帰って来ました

…そう電話口で伝えると皆さん退院してきたと思い
「あら良かったね」とおっしゃる

…いえ、そうじゃなくて亡くなってしまって…

そして嘘だ…とおっしゃる

無言の帰宅なんです
あんなに帰りたかった家に目を閉じての帰宅なんです

お団子が

上手くできないよ

どうしたら良いのお母さん！

…泣いていたらお父さんが成仏できない？

…でもやっぱり涙が止まらないの…

そしてやっぱりごめんねしか言えないの

駄目だ

どうしよう

駄目だ

ダメだ

充分です

なんて言ってたけど、この胸に溢れる気持ちはなんなんだろう

…後悔？

胸が苦しいです

お焼香に来てくれる親戚や近所の人には
「父は幸せだったはずです」なんて言ってるけど、ホントにそうだったのか？

余命宣告されてた時に自分の病気＝命の期間を知っていた方が良かったのでは無いか…

せめてもの救いは大好きな看護師さんに最期の時をお世話して貰えた事…


お棺に入れる品を探さなきゃ

何が良いかなお父さん…