「今ならまだお話が出来ると思います」
というお電話にびっくりして、Mizが Uさん(92才)のお見舞いに行ったのは、5月の母の日でした。
「腹水が溜まっていて、肺が圧迫されているのですが、
利尿剤が効かず、病状がかなり悪い」という状況でした。
------前ブログ「死の向こうに天国が・・」を参照して下さい。
その時のUさんは、あまり目を開けず、私を見ても全く反応を示しませんでした。
聞き取れないほどの小さな声で、『苦しい」背中が痛い」と言うだけでした。
Miz はUさんの背中に手を差し入れました。
背骨の一部が曲がっていて、そこを撫でながら腰の方に手を移すと、
右脚が大きく外側に倒れていて、膝が変な形に曲がり、その先にむくみでパンパンに膨れた足がありました。
Miz はUさんの脚の角度と足の浮腫を見て、
「リンパの流れが鼠径部でブロックされている状況」を察しました。
入院している人の体に触れるのは、越権行為だと思ってはいたのですが、
職業柄、Miz の手が自然に動いてしまい、
足首~膝の裏側~鼠径部にかけてのリンパの流れを整えました。
リンパの経路はさらに、Uさんの鼠径部から下腹部へと続き、臍へと。
へそから上は、自分が手を出す領域ではないと判じて、手を離しました。
その後、Uさんの息子さんが病室に来て、病状などのお話をし、
帰り際にUさんの足を見たら、気のせいか、浮腫が小さくなっているように感じました。
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先週、再び、Uさんのお見舞いに行きました。
20日前の状況から考えて、Uさんはおそらく重篤な状況におられると、Mizは覚悟してお見舞いに行ったのですが、
Mizが病室に入ると、Uさんがベッドを背もたれにして座っていて、
「アラ、センセイ!」
と大きな明るい声で、Miz を迎えてくれたのです。
----------おお、サプライズ!------
「まぁ、お元気になられましたねぇ」
~~20日前のUさんの病状からは予想できない回復ぶりでした・・。
「一度お見舞いに来たんですけど、覚えてます?」
「あらどうも、ありがとうございます。ちっとも覚えてないわ。 私、相当悪かったみたいね・・・」
同室の患者さんが、偶然に小学校が同じだったという話などして、Uさんの表情に影がないことにほっとしましした。
しばらくして顔を見せた息子さんに、病状の変化をお聞きすると、
「母は、5月の連休が明けた途端に急に元気になったんですよ」と。
「溜まっていた腹水は?」と気になることをお尋ねすると、
「もう心配なくなったので、次は、リハビリの病棟に移ることになるでしょう」ということでした。
Miz は布団をそっとめくって、Uさんの足を見てみました。
Uさんの足は、まだむくみが残っていました。20日前の 3分の1 ほどの膨らみ。
股関節部の脚の角度も、前回よりはいい状態でした。(もちろんパーフェクトではなかったけど・・)
~~でも今回は、Miz はUさんの足には触れませんでしたよ。
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Miz は、Uさんの腹水が減った理由を考えてみました。
1 利尿剤の効果だろうか
2 Miz の施術によりリンパの流れが改善した効果だろうか
Miz は 2の理由だろうと考えたのですが、身びいきの推測でしょうか。
もし2なら、医学は腹水に対する取り組みを進化させる必要があるでしょうね。
____ネット解説 <腹水貯留について>を参照下さい________
Uさんの腹水の貯留について、Miz は次のように想像しました。
腹膜内に貯留する腹水は血液やリンパ液から出来ていて、循環によって一定量が保たれ、臓器を守る潤滑油の働きをしています。
腹水量が増える場合は、何らかの理由で、腹膜内への吸収量が多すぎる、または排出量が少ないという理由が考えられます。
Uさんの場合ですが、右股関節の角度が極度に変位し、そのため鼠径部を走る血管やリンパ管が圧迫されている状態でした。
血管やリンパ管は、強く圧迫されると、流れが阻害され乱流が発生します。
その影響を受けて、腹水の循環が異常を来たし、吸収量の過多または排出量の減少が発生し、腹水量が増加していたのではいでしょうか。・・・その増加量は、利尿剤では処理しきれないほどの量だったのではないでしょうか。
鼠径部の圧迫が緩和されて、血管やリンパ管の流れが良くなれば、腹膜内への循環システムが自然に修復されるというシステムがあるのではないかと、Miz は想像しています。
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ここで、終末医療についての、Miz の考えを述べてみます。
Miz は「人はいつか必ず死を迎える」ことは容認しています。
だけど正直な話、死ぬことよりも、死ぬ直残の苦しみに対する恐怖感がある。
死ぬなら、スパッと死にたい。・・ピンピンコロリといきたい。
長~~く苦しむのは、御免こうむりたい。
だから、延命治療は、Miz の場合は拒否ですが、、、、、、
その流れで考えてみると、
Miz がUさんに行った施術は、延命治療の一種に当たらないか、
苦しみを長引かせたり、二度も繰り返させることになり、余計なことをしたのではないか、と少々考えこみました。
その悩みの一端を、Sさんという宗教心のある方にお話したのですが、
彼は、Uさんに対するMiz の行為について、
「それはねぇ、Uさんにはあなたを引き寄せる魂があって、あなたが引き寄せられ施術をした、と考えたらどうでしょうか。
あなた側にも、あなたの背後に魂があって、あなたはそれに導かれて施術をすることになった。それはあなたの思いや意志で行ったことではなく、その結果も良い悪いで判断すべきものではない、とそう考えたらどうでしょうか」と。
・・・ふーむ、そういう考え方もあり、か、なぁ。
皆さんはどう思いますか?
すべての出来事は、経験であり、必然ではないでしょうか。
生死は神の領域であり、知人様のおっしゃることは腑に落ちます。
人それぞれに、深い関わりや思いがあって、
思いは、その時々で移ろい変わり、
Miz は今もって、どう捉えていいのやら・・・。