１９９８年秋。
一人の男がカープからドラフト指名を受けた。
ドラフト指名順位は６位。
決して高い指名順位ではなかった。
そして、その男の指名を受け、大学の関係者など、その男を知る人物はドラフト指名に驚いた。
評価が低い６位指名だからではない。
大学通算２本塁打、守備に課題を持ち、足だって遅い。
『あんな選手を獲ってどうするつもりだろう』
そういう意味での驚きだったという。
当時は同じドラフトで１位指名を受けた東出(現・コーチ)の評価が高かった。
ただ、その男は持ち前の明るさとがむしゃらさで、見る人をどんどん惹きつけていった。
１年目から７本塁打を放つなど、持って生まれた『遠くへ打球を飛ばす力』を発揮してきた。
ただ、その男は他とは違った。
どんなに好成績を残そうが、どんなに年俸が上がろうが、不動の４番打者になろうが、変えない『一本の筋』を持っていた。
『猛練習と常に全力』
そんな彼にカープファンは好感を持ち、応援してきた。
それだけに、２００７年オフにＦＡ宣言しカープを去ったことに、ファンは裏切られたと涙した。
２００８年４月１日、旧広島市民球場で行われた、広島vs阪神で打席に立った彼は、カープファンからの
想像以上のブーイングをもらった。
それでも心は折れなかった。
阪神でもファンに愛される存在だった。
そして２０１４年秋。
彼は帰ってきた。
生まれ育った広島に。
ここまでの選手になった礎を築いてくれた広島東洋カープに。
２０１５年開幕戦。
彼は復帰後初の打席に立つ際、こう思っていたという。
『ブーイングを受けると思っていたのに大声援で足が震えた』
そう。
一度は裏切られたものの、ファンは彼のことが好きなのだ。
赤いユニフォームを身に纏った彼の姿を見るのが楽しみなのだ。
その男の名前は
新井 貴浩
この男の偉業達成を多くのファンが待っていた。
そして迎えた２０１６年４月２６日。
奇しくも、大学時代にしのぎを削った神宮球場。
そして、相手は復帰後初打席に立った時と同じヤクルト戦。
ここまで積み重ねた安打数は１９９９本。
あと１本で偉業達成となる。
そんな第１打席はショートフライ。
迎えた第２打席。
本来敵地であるはずの神宮球場だが、マツダスタジアムか！と思うくらいの大声援が彼を包み込む。
新井の表情はいつもと変わらない。
カウント１ボールノーストライクからの２球目・・・・・
打った！
ライト線へのタイムリー２ベースヒット！！！
この瞬間、プロ野球史上４７人目、球団史上５人目の２０００安打達成だ！！！！
ベンチも大盛り上がりである！
セカンドベース上で
一時期、同じ釜の飯を食ったヤクルト・福地コーチから花束をもらい
カープからは選手会長の小窪が花束を贈った。
誇らしげに、嬉しそうにその花束を掲げる新井。
そして、
レフトスタンドへ深々とお辞儀をする。
ここら辺りが好かれる要因だろう。
新井と言う選手は決して入団前から好素材として注目を浴びることはなく、入団後もエラーを量産する選手だった。
それでも、自身の欠点を補うべく、長所を伸ばすべく、練習に練習を重ね、努力の上に努力を上塗りして
この偉業を達成した選手である。
そして、当時の首脳陣も我慢して我慢して、将来の主軸として育ててきた。
当時の首脳陣に対し、悪態をつく人もいるだろうが、あれだけエラーが多く変化球にぶんぶんバットが回る選手。
そんな新井をこれだけの選手を育てたという意味では最高の仕事をしたと思っている。
２０００安打達成の瞬間、どれだけの人が喜び、どれだけの人が雄たけびをあげ、どれだけの人が拍手喝采したか。
想像がつかない。
すごい数の人たちが新井の２０００安打を祝福したと思う！
オイラも入団当初からファンになり、初めて買ったレプリカユニフォームは新井。
いつも応援し続け、途中裏切られた感はあったが、帰ってきてくれた。
そして今日、２０００安打だ。
正直、テレビでその瞬間を見て、ジワ～～～っと来ましたよ。
ごまかしましたけどねｗ
新井選手。
カープに戻ってきてくれてありがとう。
そして・・・・・
カープで２０００安打を達成してくれて
本当にありがとう！
昨日誕生日だったオイラ。
新井から最高のプレゼントを頂きました！！！！！
ＴＶ中継の実況アナウンサーが言ってました。
『新井にとって、メモリアルな４月２６日！』
オイラにとっても、メモリアルな１日になりました！！！！
【タカメーター】
2016年4月26日、達成！
【クロメーター】
２００勝まで、残り
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